…夢か。
 悪い夢ではなかったのに、何となく気分が優れないのは何でだろう?目覚めも良いとは言えない。何かちょっと頭も痛いし。


「夢の中でも頭使うとか、勘弁して…」


 とりあえず水飲んで寝ようとしたものの、なかなか寝付けない。おかしいな、二度寝でも大抵は寝れるし寝付きもいい方なのに。変な夢、みたからだ。

 何となく落ち着かなくて、パソコンを起動させてOZを開いた。朝方なのにも関わらず多くの人がログインしてる。フレンド登録してる人も過半数がログイン表示になっている。多分、週末だからだろう。みんなこんなに起きてるなんて、知らなかったけど。


「あ、」


 寝てるかと思いきや、キングカズマもログイン中だ。聖美さんに怒られないのかな、ちょっと心配になる。あんな夢をみた後だし、キングカズマに会いに行こうか。OMCをやっているかもしれないなんて思いつつ、キングカズマのホームへ飛んだ。


『あれ、れんげ』

『いた。いないかと思ってた』

『珍しいね、こんな時間に』

『寝付けなくて』

『何かあった?』


 その質問に、わたしは答えられなかった。今此処で佳主馬に頼ってしまったら、今までの努力が泡になってしまう気がして。


『何もないよ』


 そう言って、キングカズマの隣に腰を下ろした。そういえばわたし、佳主馬が何処の高校を受けるのかさえ知らないんだ。成績のこととか(夏の様子からして良い方だとは思うけど)、学校のことは何も。もしかしたら佳主馬を好きな子なんてうんといるんじゃないか。

 何一つ、知らないんだ。

 わたしよりも可愛い子なんて沢山いるし、揺らいだっておかしくない。会えるのは年に一度の夏だけで、電話だってそんなしなくて。そんな奴より毎日会える子の方が気になるのは当たり前だ。

 でも、わたしはどこの誰より佳主馬が好きだし、そう易々と、くれてやるつもりもない。今は自分磨きの時だ。そうでしょ?頭だって良くなって、絶対に見返してやるんだから…!


『カズマ、わたしそろそろ寝るね』

『うん、おやすみ』

『おやすみ』


 その声をキングカズマからじゃなく、肉声で聞きたかったなあと思いながら、わたしはパソコンを閉じた。




130113


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