「それでさー、彼氏がー」
「最近何そんなに頑張ってるの?」
「ちょっとまだ話続いてるー」
「将来のこと真面目に考えたらもっと頑張んなきゃって」
「そっか。頑張んな」
「ねえ彼氏の話!」
「あんたは諦めなさい。そっかー将来についてかー。成長したね、れんげ」
「本当だよね」
「えっいきなり何…」
「どーせカズマでしょ」
「うっ…」
「えっ」
「…成長してなかったか…」
「何それ酷い!」
4人でけらけらと笑う。からかったり毒づいたりもするけど、基本みんな良い子達。だからわたしも素で付き合っていられるんだ。
「じゃ、わたし図書館寄って帰るから!」
「行ってらー」
「ついて行こうか?」
「ううん、良い!じゃあね!」
「また明日」
まだ3人は残るらしい。やっと彼氏の話の続きできるね。わたしも少しは話遮って悪かったとは思ってるよ、少しね。───本当は毎日会えるのが羨ましいの。
*****
「受験することにしました」
「東大か!?」
「東大には行きません」
きっぱりとそう言うと侘助さんは落胆の色を見せた。でもやっぱり、わたしに東大なんて期待しすぎだと思うの。それにわたしがやりたいのはパソコンや情報社会を学ぶこと。だから、
「ま、やれるとこまでやってみな」
「…!はいっ!」
まるでわたしの考えを見透かしたように侘助さんは言うんだ。もう佳主馬は帰ったし、春まで。そう考えればできるはず。佳主馬に教えてもらったみたいに、1人でだってできる、そのくらい。
「侘助さんありがとう!」
121028