「高木、真城、待って…!」

「言わなくても待ってるって」

「見吉が早く行こうって言ったんだからな」

「うう……あれ?直子ちゃんも来るの?」

「ううん、わたしはこれから仕事だから。駅まで見送り」

「そっか。じゃあ行ってくるね!」

「行ってらっしゃーい」


 3人で歩く後ろ姿を見て、少し、寂しくなる。元々わたしはあの中の人間ではなくて、触れることの出来ない部外者だった。けれど、今は触れて話せて、今までは紙の中でしか見れなかった彼等を立体的に見ることができる。それでも、あの3人の様子を見ると、羨ましくなるのだ。わたしも一緒に行けたら、と。勿論わたしにはお金なんてないから3人と大学に通ったりなんていうことはできない。わたしは集英社で働くことを決めてしまったから、香耶ちゃんよりもサイコーと一緒にいる時間が短いかもしれない。いくら仕事場で暮らしているとは言え、サイコーは夜になると自分の家に帰ってしまうから。
───此処へ来る前よりも、欲深くなった気がする。


「さてと。わたしも出勤しなきゃね」


 彼等の後ろ姿が見えなくなるまでその場に立ち、わたしは集英社のある方へと歩き出した。




130302
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