両手は汗でじとっとしている。しかも慣れない正座なんかしちゃって足が痺れてきた。何故自分の家でこうも緊張しなければならないのか。話は少し遡る。

 ポッキーゲーム…しない?いきなり目に飛び込んできたその文字に、どきりとした。ナルトからメールが来るだけで浮かれる心臓には大打撃だ。差出人うずまきナルト。件名無し。他に文も無し。何かと思えば今日はポッキーの日だったと思い出す。きっとキバやチョウジらへんから吹き込まれたんだろう。
 イエスかノーかと言われれば勿論イエスだ。返信をするとすぐ返事が返ってきた。ナルトも暇してるのかもしれない。ポッキーとプリッツどっちがいい?買ったらすぐ行くってばよ!、とのこと。ポッキーの日(厳密にはポッキー&プリッツの日だったような気がする)で定着してるからそこはポッキーでしょと適当に返す。本当はチョコが好きなだけなんだけれど。
 淡々と返事をしているようでいて、実はさっき説明したように心臓ばっくばく。気が気じゃない。ていうか、ポッキーゲームって「やろう!」って言ってから会うものなの?寧ろ会ってから実はポッキー持ってるんだ、今日ポッキーの日だしやろうよ、ってノリじゃないのか!なんだか考えてるうちに体温上昇してきた。頬が熱い。始まる前からこんなんで大丈夫なのか、自分…。慣れないことだし、仕方ないか。


「これって、端っこと端っこをくわえて食べ進めるんだよな!」

「うん、」

「はいじゃあ名前」


 ナルトがポッキーくわえてわたしを待っている。あぁ、また火照ってきた。


「〜っやっぱり無理!」

「何でだってばよー!」

「だって恥ずかしい」

「キスぐらい何回もしてるだろ?」

「それとこれとは話が違うの!」

「じゃあ名前、先」


 この短い間にさっきのポッキーはナルトの胃袋に収まったらしく、新しい一本を出して差し出してくる。ポッキーゲームをすると答えた以上、やり遂げなければならない。今更緊張してる場合じゃない!わたしはやけになってチョコのさきっちょを口に入れた。
 と、ナルトはすぐ反対側をくわえてガリガリと進み始めた。ということは必然的に顔が近くなるわけで。もうやだ恥ずかしい。逃げ出したい。顔を背けようとしてもいつの間にかナルトの手が頭の後ろにあって押さえられてはいるものだから身動きがとれない。ここで冒頭に戻る。

 ポッキーを食べ進めることができずにいると、ナルトがじりじりと迫ってきて、うお、ちょっと待て!とか頭の中がフル回転しているうちに唇と唇がくっ付いた。いつもだったらキスぐらいでここまで緊張しないのに、多分茹で蛸みたいになってる、と思う。コツン、とおでこもくっ付いて、碧眼の綺麗な瞳に吸い込まれそうだ。
 わたしの反応を見て満足したのかわからないけどポッキーを追いかけるようにしてわたしの中に侵入し始めた。本当にちょっと待って!そんなことされたら心臓保たない…!なんて思っても口には出せる訳もなく…。離された時には頭までとけそうだった。


「苦し、って」

「ごめん」


 ごめん、とか言いつつ勢いよく抱きついてきて、わたしはバランスを崩して後ろに倒れた。あったかい。


「好きだ、名前」


 そういっていつもわたしの心を乱すのだ。




睫毛から落ちる瞬き


□□□□
遅刻した、死にたい/(^0^)\書いててこっちが恥ずかしいわってくらい甘い。ゲロ甘。ちゅーの描写とか出来ないのにするもんじゃないね。余談だけどキスって恥ずかしくて声に出せない。「キス」ってちゃんと言ってても気持ちは「キ、キス…」みたいになる。ちゅーなら「ちゅーしよーぜ!」って軽く言える。気がする。
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