「なにするんですか」

「簡単に言うと、監禁?」

「……」

「もしかしてナニされたかった?」


 薄暗い部屋で、僕の手首を掴んでいる彼女は薄く笑った。
 何でこの人はこんなことしようと思ったんだろう…。以前からどこかおかしい人だとは思ってたんだけど。まさか手錠持ってるとは誰も思わないだろ、まさか。簡単に拘束される僕も僕だけど。


「さーあ帝人くん、何したい?」

「名前さんがそんなこと言うなんて、裏がありそうですね」

「嫌だなあ、わたしだって毎回そんな人じゃないんだから。それに今日は帝人くんの誕生日でしょ?」

「知ってたんですか」

「うん、有名な情報屋さんから買ったの」


 有名な情報屋っていうは言わずもがな臨也さんのことだろう。名前さんとは臨也さん繋がりで知り合ったのだから。


「わたしがケーキ作ってあげよっか。手作り」

「ケーキはいりません」

「えー何で?折角わたしが作ってあげるのに」

「友達がくれる予定なんで。少なくとも名前さんが僕を此処に連れてこなければ今頃食べてたと思うんですけど」

「それは残念ね」


 残念ね、とか言っておきながら実際はとても嬉しそうな顔をしている。憎らしい程にこやかな表情だ。
 この人に捕まらなければ今頃正臣と園原さんと3人で過ごしていた筈なのに。みんな心配してるかな、誕生日に失踪したなんてシャレにならない。


「ねー帝人くん、今日は特別な誕生日にしようよ」

「既に特別な日になってます」

「例えば、目がとれるとか腕がもげるとか…今なら帝人くんの意見も聞いてあげるんだけどな?」

「……普通の誕生日がいいです」

「贅沢」


 そう言い捨てると消えていた部屋の電気をつけた。本当に何も無い部屋なんだな、とか思ってたら腕を掴まれ出口のドアに……


「あれ?帝人!?」

「竜ヶ峰くん……大丈夫?」

「どうして…」

「わたしが通報しておきましたー」

「名前さん…」

「さーさ、幸せ者たちは帰った帰った」

「また遊びにきますね」

「好きにすれば」

「あーあ綺麗なお姉さんドア閉めちゃったじゃんか帝人ー」

「さあ帰ろっか」

「それにしても何したかったんだろう、あの人……」

「構ってほしかったんだよ、きっと」

「帝人!」

「ん?」

「「ハッピーバースデー!」」




□□□□
最近書いてるとどんどん危ない方向に向かってしまう…ヤバいなわたし。
1日遅れてしまってごめんなさい帝人はぴば!

110322

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