すとん。
「っ、お前!」
「こんにちは、うずまきナルトくん。また会ったね」
「何度も何度もなんだってばよお前は!」
「だからあたしの任務は君を殺すことだって言ってるじゃん」
ヘラリ、まるで余裕であるかのように振る舞う。だけど実際は余裕なんか無くて。怖いんだ、君の前に立つのも、君に刃物を向けるのも。
「俺はお前と戦いたくねえ」
「何で?戦わないと殺されちゃう、よ!」
そう言ってわたしはクナイをぶん投げる。ある程度の殺気を放ち、彼を戦わせる気にしなければ。
でもどうしてわたしがこの任務の遂行者に選ばれてしまったのか。本当はこんなこと、したくないのに。きっと大蛇丸様は何もかも知っていながらわたしに仕向けたんだろうけど。
「お前、本当に俺を殺しにきたのか?」
「そうよ!」
「じゃあ何でそんな悲しそうな顔してるんだってばよ」
「うるっさい!」
こっちはひたすら攻撃をしているというのにひらりとかわしていくアイツ。その上話しかけてくるし。苛つくんだけど。攻撃も一切せずかわすだけ。やる気無いの?早く攻撃しなさいよ!
「なあ」
「っ、」
今まで攻撃してこなかった癖に、木に押し付けてわたしの動きを封じ込めた。首もとにクナイがあるから動くことも出来ない。クナイって意外と鋭くて、キレがいいものなんだ。そりゃ手入れしなけりゃ別だけど。
どうしよう、心臓がばくばくいってる。
「お前から強い殺気が感じられないんだよ」
「あたしはお前を殺したいんだよ!今すぐ!」
「本当は理由があって大蛇丸に逆らえないんじゃねえのか?」
「わかったような口きくな!」
突き飛ばした。違う、突き飛ばせなかった。いつの間にこんなにわたしは力を失っていたの…?いや、相手がコイツだからだ。
「ほらな、今殺気が消えたぞ」
「……」
「なあ、本当は逃げたいんじゃないのか?こんな任務に出たくないんじゃないのか?」
確かに、こんな任務嫌よ。あなたを殺す任務なんて受けたくなかった。でも無理なのそんなこと。例えわたしが下っ端の下っ端の下っ端の下っ端で大蛇丸様に会うことすら許されない程の下っ端であっても、任務を二つ返事で受けなければ殺されてしまうのだ。
「おいっ、お前!」
彼がそう言った時にはもう、わたしの胸にクナイが刺さっていた。首もとにあるクナイを奪い取り自分自身に突きつけたのである。
ナルトから見れば意味の分からない光景なんだろうな。さっきまで自分のことを殺すと言っていた人が自殺行為をしてるんだから。
そんなことを思いながらクナイを体から引き抜いた。多分、死因は出血多量になるだろう。
ナルトのことが気になり始めたのはいつだったかな、もうハッキリとは覚えていない。でも、大きな関わりがあった訳じゃないことは確か。遠くから君を見ていて、太陽みたいなその笑顔がわたしは大好きだったんだ。あなたの中に眠る怪物のことも知らずに。その内わたしは大蛇丸様の命令で拉致されて───だからあなたがわたしのことを知ってはいないと思う。寧ろ、それでいい。
「お願いだから、生きて。」
出来ることなら、
あなたに殺されたかった。
□□□□
弟とナルトの少年編を見ていてカッとなってやった。反省はしてるが後悔はしてない。ナルトとシカちゃんとキバのあの3人が好きだなあ。
110316