白い肌が目に染みるとはよく言ったものだ。彼女の場合、白いどころではない。白すぎるのだ。それこそ、病的な程。その白すぎる肌は目に染みるなんて物ではなく、目に痛い。


「ね、今から、だめ?」

「勤務中です」

「いいじゃない別に」


 そう言ってわたしのネクタイを掴み、引き寄せる。急に狭まった距離に、心臓は早くも鼓動を速くする。


「誘ってきたのはそっちだからね」

「そうこなくっちゃ」


 するりとネクタイを外され、わたしはその赤いルージュに噛みつく。白と赤のコントラストを崩すのはわたしでなくてはならない。彼女はわたし以外の女にも抱かれているようだが、冗談じゃない。彼女を縛り付けておく術なんて、わたしにはないのに。


「はやく、」

「…萎えた」

「は?」


 スッと身を引き、ネクタイを正す。彼女の胸についた印を見てしまったからだ。それに勝るくらい、たくさん印を付ければいいのかもしれない、でも。


「意気地なし」


 彼女には反省してもらいたい。




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勤務中は敬語で、勤務外はタメ語という。自分の中のけじめなんでしょうね。
121215

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