大地のお腹に手を回して、抱き締めなおした。
「だーいちっ」
「…お?」
「ふふっ」
「何だよ」
「なんでもなーい」
「笑ってないで言えって」
「ちょ、いたーいー!」
こうして2人でいれるのが幸せだって、ふと思っただけだよ。心の中でそう答えながら、体をこちらに向けて大地がグリグリと両手で頭を押してくるのを耐える。手加減してくれているらしく痛みは少ししかないけど、大袈裟なリアクションとるのは大地はわたしを許してくれるって分かっているから。
大地は温かいなあ。勿論、今抱きついているからその温かさもあるし、人間的な面で温かいというか。ほら、旭さんを除くみんなに優しいし。
そんな、あったかい大地とこうして一緒にいれることが幸せなんだ。
バレー部の主将で忙しい事この上ないからこんなオフの日は滅多にない。なのにわたしの為にわたしと一緒にいてくれるし。そんなんだから大地のこともっと好きになってしまう。
「ねえ」
「ん?」
「…やっぱり何でもない」
「さっきから何だよ。今日の名前はいつにも増して変だな」
「何それ酷い!」
来年になったら大地は烏野からいなくなる。1人残されたわたしは大地がいない毎日をちゃんと生きれるのかな、大地優しいからそれに漬け込んで女の人に誑かされたりしないかな。幸せそうな大地の中で、彼に対して失礼なことを考えている。
121126