「何だって、正しかったのよ」
「ん?何か言ったかよい?」
「エースにとったらティーチを追いかけて行くことは、正しかったのよ」
「…まだ書いているのかい」
エースがティーチを追いかけていってしまってから、かなりの時間が経った。あの人は部下の不始末は自分で片づけなきゃいけないとか変な責任感持って、みんなの意見も聞き入れずにその身1つで出て行ってしまった。あいつ、そういうところバカなんだから。何の為にわたしがいると思ってるの。
「連れて行ってくれればよかったのに」
「そんなもの届かないってわかってるだろ?」
「でも…!」
「うるせぇよい」
別にマルコに聞いてもらわなくたっていいんだから。理解してもらわなくたって全然いいんだから。わたしの唯一の理解者は、エースだけでいいんだから。
わたしはエースが出て行ってしまってから、オヤジが空けた酒の瓶にエース宛ての手紙を入れて毎日海に流している。いつかはエースに届くんじゃないかって。どこか遠い所にいる彼と海でわたしは繋がっているから。だから早く帰ってきて。わたしやみんながエースの帰りを待ちわびてる。どうか無事に帰ってきて。
*****
「何でわたしは戦闘に出れないの、親父さん!」
「おめェは弱ェからだ。ナース達と引っ込んでろ!」
「そんな、嫌です!折角エースに会えるのに、…すぐそこにいるのに」
「大人しくしてろよい」
最後に見えたのは、弟を守って力に屈する兄の姿だった。
正しきこと
120807