「ねーるいるい、次はこんなのどうかな?」

「セーラー服?いいけど」

「わーいさっすがるいるい!」


 僕の彼女は変だ。というよりも変態だ。女装をしている僕が言うのも可笑しいかもしれないが、それでもかなり彼女は変態だと思う。
 まず第一に、僕に色んな物を着せたがる。何度も言うようだが女装には慣れてるから言われた物は大抵は着るんだけど、それでポーズをとらせて沢山の写真に収めた挙げ句、そのまま腕を組んで街へ繰り出す。端からしたらただの百合っぷるじゃないか。別に、彼女といれるから嫌じゃないけど。最近はカラコンや、僕が持ってるロード用と黒のウィッグ以外も持ち出して着けさせるからまるで僕が僕でなくなっていくみたいだ、と感じている。まあ、彼女のやることだし別に気にしてないんだけど。
 第二に、僕のことは何でもしたがる。先に述べた服のこと然り、食べるものから何から何まで。一度自分のことは自分でできるから、と言ったけど、「わたしがやりたいからやってるの!てかやらせて!お願い!るいるいはXたんを育てていればいいの!」と言われてしまった。そんな彼女を僕は極端だと思っている。Xを育てるのは勿論僕がやらなきゃいけないことだけど、自分のことをやらなくていいほど身分の高い訳でもない。そもそも、僕が目指しているのは皆が平等な世界だ。そのことを伝えると「わたしがるいるいをアップデートさせるの!」正直ちょっとよくわからなかった。
 以上でわかる通り彼女は僕を溺愛してくれている。始終僕から離れたくないとかもよく言う訳で、それがたまにウザいと思ったりもする訳だが、マンションの部屋の前で布団敷き始めた時に驚き越してもう諦めて同棲することになった。まあ、ご飯は美味しいし、女装に理解はあるし(流石に理解ない人と暮らして毎日罵倒されるのはいただけない)ちょっと、いや、ちょっとどころではなく変で変態だけど、まあいいか、なんて思ってしまっている自分がいる。人間とは不思議なものだ。


「やっぱり似合うね、るいるい!セーラー服には黒ロングじゃなくっちゃね」

「ありがとう」

「いいっていいって〜さ、学校の机も用意したから座って!」

「……それ、どこから」

「GALAXで持ってる人いたから譲ってもらっちゃった!」


 僕の前で嬉々として写真を撮る彼女は、なんと言うか、滑稽だ。僕は此処にいるのに。


「そんなに撮ってどうするの?」

「どうするって、るいるいがLOADたんとしてお仕事行かなきゃいけないとき、わたし1人だからこの写真見てるいるいといるんだよ?あとねー、個人的な写真集作るの!」

「え、なにそれ聞いてない」

「まっいいじゃーん」


 良くない。そんな言葉は彼女の耳には届かない。僕は小さく溜め息をつく。本当は夜から、ちょっと出掛けなきゃいけないんだよなあ。勿論LOADとして。


「わっ、るいるいどうしたの?」

「ちょっとこのままで」


 急に抱き締めたから少し驚いてるみたいだったけど、すぐにいつもの彼女になって「るいるいの匂い良い匂い〜」なんて言っている。気楽な奴め。


「それからさ、その呼び方やめてよ」

「やっぱり駄目だった?昔を思い出す?」

「うん」

「でもやめてあげない!るーいるいっ!あっ、ちょ、タンマ!ちゅーしようとしたでしょ!」

「待たない」

「ちょっと、るいるい〜〜〜!!」


 五月蝿い口は黙らせれば良い。俺だって男なんだ。
 男の俺は、嫌い?




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