※男主です。ちょっと、おホモっぽいかも















「名前ー?」

「……徹か」

「うん。まだ仕事終わらない?」

「もう少し」


 俺には兄がいる。一卵性双生児の俺たちは、当たり前だが外見がよく似ている。身長、体重、顔、そしてパーツに至るまでそっくりだ。運動を得意とする徹と違って、俺は体育の授業くらいでしか身体を動かさないため流石に身体つきは違うが、それでも俺たちはよく似ていた。外見における違いと言えば、盛られていない髪、常時掛けている眼鏡、そのくらいだろうか。
 たまに、部活を終えた徹は生徒会室までやってくる。会長の俺は遅くまで仕事をしているから、部活が終わる時間より早く帰れることはそうそうない。


「よし、終わった」

「じゃあ帰ろう!」

「今日は岩泉たちと帰らなかったんだね」

「だって最近名前と帰ってなかったから」


 終わるまでかなり時間がかかりそうなときは生徒会室に来ても追い返して帰らせたこともある。ただでさえバレーに浸かっているのに俺と帰るために待ってたら勉強すら時間がなくなるからだ。


「この前トビオちゃんがね、」


 そう切り出して、徹は偶然にもトビオちゃんと会った時の話をし出した。いや、学校違う奴に偶然会うなんてそうそうないと思うんだがそこは突っ込まないでおく。大方徹が騒ぎながら会いに行ったのだろう。
 徹の言うトビオちゃんが中学時代の後輩であり天才の影山飛雄だということはよくわかっていた。当時の徹を間近で見ていたけれど、その時の徹は兎に角必死だったように思う。追い付かれないように高みに逃げて、逃げて。それでも尻尾掴んでこようとする影山に手をあげそうになって。あの時は俺も驚いた。こいつにはこんな顔もあるんだと思うと、ぞくぞくした。今まで片時も離れずにいた俺が始めてみる表情だった。岩泉から連絡や相談を受けて、家にいる間は俺が徹を見守る、癒す。その頃からしてみれば、今は徹が影山にプレッシャーをかけているもの、成長したと言えよう。俺は嬉しい。


「今話聞いてなかったデショ」

「あ、ごめん」

「ごめんじゃないよごめんじゃ!何考えてたかこの徹兄さんに言ってみなさい!」

「徹のことだよ」

「俺?名前も口が上手くなったなあ」

「そりゃどーも」


 徹は冗談だと思っているが、まあそれでもいいだろう。別になんでもかんでも真実を言う必要はない。


「今日夕飯何かな」

「知らなーい」

「母さんに聞いてみる?」

「いや、家まで競争!行くよ名前っ!!」

「ちょ、待て徹!!」


 俺が走れないの承知で勝負を仕掛けてくる兄さんの背中を、弟の俺は必死に追いかけた。
 息、がッ……!

 あまりに遅い俺を見かねて徹は足を止めた。


「ほんと体力ないなー名前は」

「わかってるなら仕掛けるなよ」

「だって俺が名前に勝てるのスポーツ面しかないし?」

「……帰ったら勉強みてやるから覚悟しとけよ」

「え、やだやだやだ!名前がいじめるっ!」

「近所迷惑になるから叫ぶな!帰るぞ!」

「ええー」




□□□□
及川双子夢でしたー及川の一卵性双生児とかおいしい……個人的に、及川弟の名前は葵と書いて「まもる」がいいですね。徹守っちゃう、みたいな。今度はもっと葵くんがヤンデレチックで岩ちゃんにも渡したくない徹を本当に理解できるのは小さい頃からずっと一緒にいた俺なんだみたいなの書きたいふふふ。及川さん受け臭半端ない。

130916

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