「土屋先輩ってさ、黙ってりゃイケメンなのにねぇ」

「は!?もしかして忘れた訳じゃないよね?あの弥生さんの事件」

「勿論忘れてなんかないけどさ」


 イケメンなのはイケメンなんだもの、しょうがないじゃん。わたし悪くないし。どうせ面食いよ。


「でもさぁ、口開くと残念だよねえ」

「え、あんた土屋先輩と話したことあるの?」

「ないけどさ、話してるのとか聞いて」

「あぁ〜、確かに残念かも…」


 笑顔で変なこと言うからさ、聞いてるみんな幻滅、みたいな!高校になっても、中学の時に犯した罪は土屋先輩をついてまわって友達なんていないみたい。はは、笑えるー!


「でもやっぱ気になるから土屋先輩とこ行ってくるわー」

「え!?ちょっと危険なことしないでよ!」

「大丈夫大丈夫!問題ナッシング!」

「友達消えるとかシャレになんないから!」

「まだ消えるって確定したわけじゃないじゃんー」


 心配してくれる友達を余所に、わたしはその場所を後にした。良い友達を持ったなぁなんてつくづく思ったりして。まぁ、わたしは土屋先輩が怖くない訳じゃないけど、気になる人なんだから近付かなくてどうするのって話ですよ。何の根拠も無しに、そんなに危険じゃないと思うんだよなぁ。何でだろ?


「あ、土屋先輩ー!」

「…誰?」


 いつもと変わらずにこりと笑って言った。この感じ、誰かに似てるんだよなー、誰だっけ。


「わたし、苗字名前って言うんですけど、先輩わたしを隠す気ありません?」

「二年前の話を言ってるのかな」

「少しね」

「お気に入りじゃないのに隠す意味なんて無いよ。だからその提案は却下かな」

「えーひどいーわたし先輩のこと気になるからお近付きになろうと思ったのに。どーせ友達とかいないんでしょう?先輩」

「ちょくちょく気に障ること言うね、苗字さん」

「わっ、名前覚えてくれたんですか!嬉しいっ!」

「記憶力には自信があるからね」

「土屋先輩の意外な特技発見〜」


 あ、そうだ、思い出した。中学の時、途中で入ってきたカウンセラーの先生に似てるんだ、雰囲気が。


「じゃあまた来ますね〜」

「君みたいな子来たってつまらないから来なくていいよ」

「先輩ツンデレだなぁもう」

「違う!」


 真っ赤になっちゃって。先輩か〜わいぃ〜。明日からが、楽しみだ。でも、先輩だって満更じゃないでしょ?毎日可愛い後輩と喋れるんだから。




不鮮明な水晶
「あ、帰ってきた!大丈夫だった!?」
「先輩超普通だったよー可愛い」
「(可愛い…?)変人と言われる人を普通にしてしまうあんたが心配だよ…」

□□□□
「先輩おはようございますー!」「うるさいうざい」「先輩早くデレ期来て下さいよお」みたいな展開が望めるであろう翌日。今手元に漫画がないんでなんとも言えないのだけれど、工藤と土屋先輩って種類似てるよね。ただ、やっぱり工藤の方が他人に心を許さない完璧な作られた笑顔って感じするけど、その点に於いては土屋先輩未熟かなー、なんて。

120414

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