「透」

「何」

「なんでもない!」

「何だよ、気持ち悪いな」


 透に気持ち悪いなんて言われても、全然不快に思わない。だって透は不器用さんで、素直になれない子で、これが透の愛情表現だってわたし、分かってるから!その見下しているような目だって、照れてるのを隠してるだけだって、知ってるんだから!


「ね、今日暇?」

「やっぱり言いたいことあるんじゃん」

「まあまあいいから。で、どうなの?空いてる?塾とか無かったよね?今日」

「帰ったらゲームやらなきゃいけないんだけど」

「ほんと!?良かった…実は家にアイスと生クリームとフルーツがあるんだけど、パフェ食べに来ない?」

「…名前がどうしてもって言うなら行ってあげる」

「うん、じゃあ来て!」


 周りの人から見たらウザいだろう笑顔と共に吐かれた台詞も、わたしに降り注ぐ透の言葉なら何だって素直に受け止めてあげる。
 実は、透の好物はパフェで、このことを知ってるのは数少ない人間だけなんだけど(と言うのも、透は恥ずかしがってるのかファミレスでも頼んだことないし、素直に好物を教えてくれるなんていうこともある訳がないからだ)、外で食べるのは嫌がるから(周りの目が気になるのかな)態々わたしが透の為に作ってあげるって訳。ああ、わたしってなんて献身的…!良いお嫁さんになれるわ!


「今変なこと考えてるでしょ」

「別に?」

「じゃあにやにやしないで。気持ち悪い」


 透って、わたしに対してこうやって酷いことばかり言うけど、でもそれはわたしに心を許してるってことなの。学校じゃ始終笑顔振りまいて、わたしと同じように扱われてる人っていないもの。だから、いいの。わたしが透にとっての特別だって分かってるからいいの。


「早くしてよね」

「はーい」


 昨日のうちに生クリームは泡立てておいたから後は盛りつけるだけだからそんなに時間はかからない。急かしてくることだって、計算済みなの!
 下にコーンフレークを敷いて、その上にアイス、生クリームと重ねていく。最後に丸く形づくったイチゴアイスを乗っけて、本物のイチゴも乗せた。勿論、ポッキーも忘れずに2本刺した。


「はい、どうぞ!」

「いただきます」


 透が座っている真向かいにわたしも腰掛け、じっと透を観察する。整った顔、今日も綺麗にセットされた髪。こんなにカッコいい人がわたしの彼氏だなんて、未だに信じられない。とか本人に言ったら怒るんだろうな。じゃあ分からせてあげるよ、とか言って!


「美味しい?」

「食えなくはない」

「そう?良かった」


 透が素直になれるだなんてわたしは思わないけど、たまには素直に言ってくれたら、わたしは死ぬほど嬉しいんだよ、透。




□□□□
フリリク消化の時の没。これだと別に学パロが生かせてない気がして。

130328

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -