今より少し昔のお話。西の方のお国に一つの裕福な家庭がありました。その家にはたった一人の愛娘、名前という少女がおりました。名前の5歳の誕生日の日、パーティーの真っ最中に少女の両親は「今年のプレゼントは何のおもちゃが良い?」と尋ねました。すると少女は「お父様、お母様、おもちゃはもういりません。でも、何でも言うことのきく人形が欲しいわ」と答えました。少女は頭が良かった為、もう子供騙しの玩具なんかは必要なかったのです。両親は困り果てて頭を悩ませ、気付けば少女の誕生日から一週間経っておりました。流石に我慢が出来なくなった少女はプレゼントの催促をするようになりました。パーティーの日にプレゼントの内容を話すのはいつも通りでしたが、何しろこのような要求は初めてでしたので次の日に用意出来ないのは当たり前のことでした。両親は少女の期待に沿えているか半ば諦めながら少女の部屋にプレゼントを用意して、少女が塾から帰るのを待ちました。少女が部屋に入って暫くして、少女は部屋から顔を出し「流石わたしのお父様とお母様!とても気に入りました、ありがとうございます!」大きな豪邸いっぱいに響くくらいの声で嬉しそうに感謝の気持ちを伝えたのでした。
 さて、部屋で少女の帰りを待ちわびていたプレゼントは何かと申しますと、少女専属の執事でした。これだけ大きな家に住んでいるのですから沢山の召使いを雇っていましたが、少女の専属召使いというのは今までに一度だっていなかったのです。それは少女がやんちゃすぎる為雇ったら片っ端からやめていってしまうだろうなどということでは全く無く(少女はやんちゃをするような子ではなく、大人しいからです)、両親の少女に対する教育方針として小さい頃から他人に頼ってばかりでは駄目だいうものでありましたが、それも今日でお終いです。彼はアレンと名乗りました。名前を自分で付けれないことに少女は始め不服そうにしていましが、それにも次第に慣れていきました。専属の執事といっても、まだ年齢にして八歳の若者でした。しかし、執事養成学校をトップで卒業したばかりの素晴らしい実績を持つ彼は、大人と何ら変わりはありませんでした。八歳で卒業というのはとんでもない飛び級で、最年少として学校の歴史に名前を刻んだのでした。彼は名前にとっての良いお兄さんというようなポジションになりました。朝起こすのも彼が。朝食へ連れて行くのも彼が。ありとあらゆるものの管理は彼が行うようになりました。ある日、名前は通りがかった街のショーウィンドーに飾ってあったドレスを欲しがりました。お金の管理も勿論アレンがやっていましたから名前はアレンに駄々をこねましたが、決して買わないと譲りませんでした。両親から甘やかすなと言われていたのもありますし、彼自身も我が儘なお嬢様には育てたくなかったのです。塾へ行くのも止め、勉強をみるのも彼の仕事となりました。しかし、義務教育を受ける年齢になり、学校で授業を受けていたある日のこと。


「お嬢様」

「……」

「お嬢様、授業中ですよ、起きて下さい」


 小声で話しかけられても全く気付かない名前。名前はアレンの授業が大好きだったので、学校など本当は来たくないのです。そんなところに睡魔が襲ってはかなう筈がありません。
 仕方がありませんね、アレンは誰に言うでもなく呟いて何やら小さな箱から一粒取り出し、そっと名前の口の中へ入れました。
 するとすぐに名前は音にならない叫び声をあげて目を覚ましました。ちらりとアレンに目をやるとしてやったりな表情。


「わたしこれ嫌いだって言ってるじゃない!」

「なかなか起きないお嬢様が悪いのですよ。いくら退屈だからって成績に関係してきますから授業態度は良くないと」

「…はぁい」


 名前が食べたものはメントールの強いタブレットのようでした。名前がこれを嫌いなことがわかった日からアレンはこうして常備するようになったのです。


*****


「先程は失礼致しました」

「本当よ、全く…」


 そして少し目を逸らして頬を紅く染めながら言うのです。


「次はキスにしてよね」

「……お嬢様。いつからそんなに大胆になられたのですか」

「お、おはようのキスよ!普通でしょっ」

「そうでしたね。しかしお嬢様、そんなことをしたら」

「人目は気にしてないわ」

「いえ、そういうことではなく。退学になってしまいますかと」

「え?」

「学校が決めておられます破廉恥基準をお忘れでしょうか」

「でもおはようのキスよ!?」

「そうであっても、です。手を繋ぐことさえはばかれるのですから」


 名前は少し、いいえとても残念そうに俯きました。キスが欲しいなら素直に仰ればいいのに、なんてアレンは心の中で思いましたがそれはまた別のお話。




幸福主義者

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アレンが執事だったらって考えると妄想で空も飛べそうです(^q^)アレンくんマジLOVE1000%ですよもうはぁはぁアレンくんが執事だったら完璧すぎて怖いですね。黒アレンもしょっちゅう出てきそうですがそれはそれで美味しいです(^ω^)容姿端麗文武両道…じゃないか、適切な四字熟語が出てこないですが(おい新羅ちょっと来い!)見た目良し、学問良し、まあ何でも出来るスーパーマンですね、いけめん。あ、因みに髪長いバージョンですよ←←

111127

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