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┃ 目が盗まれました。わた ┃
┃ しの、左の目の位置にあ ┃
┃ ったそれはぽっかりと大 ┃
┃ きめの穴を残して姿を消 ┃
┃ てしまったのです。見つ ┃
┃ けて下さった方には、千 ┃
┃ 円、お渡しします。   ┃
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 丁度今朝です。いつものように6時ぴったりに起き、顔を洗う為洗面所にやってきました。でも何か可笑しいのです。わたしと仲良しの方の手が寝ぼけている瞼をこすりました。其処でやっと気付いたのです、嗚呼、左目が無い、と。

 もしかしたら何処かに落としてきてしまったのかもしれない、とまず家の中を歩き回りました。ですが全然見当たらないのです。おまけに距離感が掴めず転びそうになる始末。わたしは諦めて、朝食を食べることにしました。
 まず、食パンをトースターに入れました。卵とベーコンを一緒に焼いて、ついでにレタスも良い大きさに切りました。チン、と食パンが焼けたことをトースターがわたしに教えてくれました。全てのものを食パンに挟み込み、わたしはかぶりつきました。それは随分と美味しかったのです。

 さて、どうしようか。わたしは考えました。ご飯は一応食べれたものの、生活するには支障をきたし、辛いのです。あるとは思えませんが、通学路や学校にっ探しに行こうと考えました。しかし、このまま人様の前に出るのも怖がられてしまうかもしれません。わたしは救急箱を持ち出しました。ガーゼを目に当てて、くるくると包帯を頭に巻き付けました。

 道端を注意深く見ていても、そう簡単に見つかるものでは無いようです。もし道にあったとしても、汚れていたり、形が崩れていたりするんじゃないか、わたしは思ったのです。そうしたら今わたしが探している意味も無いような気がします。でも今はただひたすら探すしか無いのです。そんなこんなしていたら学校に着いてしまいました。

 ありました、ホルマリン漬けのそれが。理科室に来てみて正解でした。しかし、一体誰がこんなことをしたのでしょう?
「あ、れ?」
近づいてみるとそれはまるで別物で、わたしのものではありませんでした。折角此処まで来たのに、残念です。

「よし。」
 家に帰ってポスターを作り、張り出してまた家に戻ってきました。こんなに探しても無いんだから落としてきたのではなくて盗まれたのだと思うのです。わたしが出来ることはもうありません。とりあえずお茶でも飲んで落ち着きましょう。
“ピンポーン”
わたしが戸を開けると男の人が立っていました。
「これは貴女のですか?」
わたしは頷きました。この男の人はわたしがさっき作ったばかりのポスターを持っていました。手書きだから二枚しか作っていないのにその内の一枚を持ってきてしまったようです。少しばかり酷いと思います。
「何があったのかは知りませんが、こんなポスターは意味が無いと思いますよ」
「何故ですか?」
「もし何方かが目を持ってきたとしましょう。しかし、貴女のものだとわかる術が無いじゃないですか」
「そんなことはありませんよ」
「……」
訳がわからないというように、目の前にいる男性は首を傾げました。


「私の左目は、色が反対なのです。」


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