どうしてかな、
彼女のことが忘れられないんだ。

随分と昔に会った。
確か、公園にいた僕はベンチでボーっとしていた。そこへ彼女は真ん中にスペースを開けるようにして僕と反対側に座った。
キラキラと木漏れ日が降りそそぐ夏の日だったと思う。ベンチの側に立っていた木が丁度良く木陰を作っていたんだ。
緑の中、映える白いワンピースを着ていた彼女は、つばの大きい麦わら帽子を被って読書をしていた。まさに“文学少女”。そんな言葉がぴったりの容姿をしていた。
僕はというと、日の下で読書とか読みにくそうだな、とかどうでもいいようなことを考えていた傍ら、彼女のことが気になって仕方がなかった。もう8月にかかり、夏休みもあと1ヶ月切ったというのに、白く全く焼けた様子が見られない肌。近くの家の中ではきっとだらけてうなだれていると思われるこの蒸し暑さの中、彼女の周りだけが少しばかり温度が低いような、そんなことを感じられる透き通るような肌だったんだ。ワンピースの裾からするりと出ている足とか、全然ベタつきを感じさせないさらさらな髪とか。 全てが僕を惹きつけた。
時折吹くそよ風が、その時は少し強かったんだ。今考えると、彼女は浅く帽子を被っていたんじゃないかと思う。兎にも角にもその風によって帽子は攫われた。「ぁ、」と少し声をもらした彼女よりも早く駆け出して、帽子を捕まえた。尤も、帽子はそんなに飛ばされていたわけではなく、落ちるとしても公園内だっただろう。
「どうぞ」と大きめの麦わら帽子を差し出す。彼女は「ありがとうございます」とだけ答え、今度は飛ばされないように膝の上に置き手で押さえていた。

僕が覚えているのはここまで。その後どちらが先に公園から去っただとか、帰りの様子を全くもって覚えていないのだ。確かなことは、会話したのはこの一言だけということ。
ただ、麦わら帽子を渡した時に見せた彼女の笑顔が頭に焼き付いて離れないのだ。






□□□□
補足というかなんというか。
ただ単にわたしがあとがきを書きたいだけ。
一目惚れするってことは要するに面食いじゃんとかって思って、でも出会ってイケメンじゃなくても会話したときの仕草にキュンときたとかも一目惚れかなあと思って書いてみた。
適当 だが 満足。
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