かぜの噂で聞いたの。東で魔女が死んだらしい。
なんでも、千歳近い癖に死ぬ数日前まで生き生きしていたという。
私だったら嫌だな、そんなにずっと生きていなきゃいけないだなんて。
やることが無くなって、毎日毎日暇そうだもの。
昔はね、国王に認められて、直属で王様の願いを叶えていたそうよ。
魔術も色んなものを知っていて、皆から慕われていたんだって。
でもそのうち戦争が始まったの。魔女は国王のため、国民のため、ありとあらゆる魔法を使って戦ったわ。
でも相手国の方が魔女やら魔法使いやらがやたらに多くて、数で負けてしまったそうよ。何しろ1人だったんだから。
その戦争によって王妃が亡くなってしまった。宮殿に投げ込まれた数多くの爆弾によって王妃は一瞬にして灰と化した。
それに激怒した国王は魔女を国外追放し、東の地方へ追いやった。
その土地で魔女は、ひっそりと暮らし始めた。
でも魔女とても心優しかったから、そのうち東の地の人たちとも仲良くなった。
昔の国の人が、魔女を心配して訪ねてくることもあった。
だけど。けれども、魔女には魔術を使える友達がいなかった。自分のように長く生きる友達がいなかったのだ。
昔から慕ってくるのはやはり人間。逢うとしても戦争で。仲間ではない、敵だ。
好きな人ができても、それは人間。先に死なれてしまうのがオチだ。
それに気付いた魔女は皆との関係を断ち、またひっそりと1人で生活したそうだ。

ならどうして、生き生きしていたんだろうねぇ?


魔女の若かりし頃
(そうねぇ、7・800年程前かしら?)


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