2
「…なぜ,プリムは働いているんですか??」
「愚問だな,レギュラスくん。お金が無いからだ。」
「部屋を借りるときは,お金有るって言ってたじゃないですか。嘘だったんですか。」
「愚問だな,レギュラスくん。私が有ると言ったお金は,ガリオン金貨であり,それは魔法界で使えるお金であり,マグルに使える金ではないからだ。」
驚きでレギュラスくんの瞳が揺らいだ。
「…それじゃ家賃はどうしてるんですか,プリムが働いた分だけで払って…」
「否。さすがにそこまでは無理だった。なので少し裏技を使った。」
レギュラスくんは首を傾げならが言った。
「裏技??」
「ガリオン金貨をポンド,マグルのお金に換金してくれる当てを知っていて,な。」
「…ふーんそうですか…。」
レギュラスくんは興味なさげな声を出し,
ぼそぼそと続けた。
「…魔法が使えるなら働かなくても,うまくマグルから盗めばいいんじゃないですか?」
「それは駄目だ。私達は闇の帝王に追われている身だ。その上マグルのポリスマンから追われたら,二重に私たちは逃亡しなければならなくなる。」
「……プリムが働く理由はわかりました。…じゃあ僕も働きます!」
「それも駄目だ。この前みたいに倒れる心配がある。仕事中に倒れたらどうするんだ。」
「でも,なにもしないで家にいるのも…」
「レギュラスくんはルプラと家で家事をしたり,魔法の練習をしたら,いい。記憶が戻るかもしれない。まだ体が本調子でないのだからゆっくり休養をとってくれ。」
「…プリムの稼ぎだけで生活費は足りるのですか?」
「ガリオン金貨を切り崩す。質素倹約すればしばらくは大丈夫だろう。」
私は弱々しく微笑んで見せたー…
この生活を始めて一年あまり,最初は似合わなかったレギュラスくんのエプロン姿も板についたものだ。
私は職場に向かいながら,まるでカフェの店長になったようなエプロン姿のレギュラスくんを思い浮かべ
ひとり笑みをこぼした。
- 8 -
← | →
←モドル
★名前変換