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シリウスが家から覇気のない顔で帰ってきても,
レギュラスが亡くなったという実感は全く沸かなかった。

やっぱり行くんじゃなかった,そんなことをぽつりぽつりシリウスは呟いた。

母親からなにか言われたらしい。詳しくはよくわからないがシリウスが呟くことから断片的にわかった。

シリウスはレギュラスの死に悲しんでいるというよりは,母親からいろいろ言われたことに,辟易しているようだった。


レギュラスの死に実感が無いまま日々がすぎた―。そんなある日だった。ダンブルドアから所用があるからホグワーツに来なさい,と呼び出しがあった。

久々に入る母校は何も変わっていなくて―,動く階段,動く肖像画(何人かが私に挨拶をしてくれた),すべてが懐かしい。

用事を終えて帰ろうと思ったその時ふと,学生時代レギュラスと会っていた部屋を思い出した。『必要の部屋』―。

ちょっとだけ覗いてもいいかな。

8階の廊下,レギュラスのことを思いながら―,当時した何気ない会話や,話すときの仕草―を思い出しながら廊下を3回往復した。

現れた扉を何の躊躇いもなく開いた。


懐かしい思いと同時に熱いものが込み上げた―
いつも見慣れた部屋
少し違ったのは
レギュラスの写真が部屋の所々に置かれているところだった。 レギュラスがスニッチをとったところの写真や図書室でうたた寝している写真もあった。

腰かけて一緒に話した机と椅子。その時欲しいモノが何でも入っていた棚。

へんなの,そこにはレギュラスを思い出すもので溢れているのに,レギュラスだけがいなかった。

頬に冷たいものが走って零れた。それは次々と溢れだして止まらなかった。

私はやっとレギュラスがこの世から去ったことを自覚した。

声を上げて泣いた。溢れだす涙が止まるまでしばらく時間が掛かった。

無意識にレギュラスの写真を抱き締めていた。写真の中の彼はいつもの悪戯っぽい顔で笑っていた。

写真持っていきたいなぁ。でも部屋から出たらきっと消えてしまうんだろうな…。

涙は次第に止まったけれど,私の心には,ぽっかりと孔が空いたようだった。


to be continued.

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