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「レギュラス・アルクトゥス・ブラック!」
……?

自分名前を急に言われてびっくりして振り向くと,見知らぬの女子生徒がいた。
ネクタイの色は真紅と黄金だった。

「探したわよ。」

スピカ(と兄さん)以外にグリフィンドール生知り合いはいなかったし,スピカとももう―…

だから自分に話しかけてくるグリフィンドール生などもういないはずだった。

…でも,なんだか見たことがある生徒のような気がする。

なんだろうこのデジャヴ感。なんだかスピカと出会った時のことを思い出した。

「どちらさまですか?廊下でフルネーム叫ばれるようなグリフィンドールでの知り合いは,いないと思うのですが。」

「…ああ,ちゃんと自己紹介してなかったわね。あたし,カペラ。カペラ・ブラウン!」

「……。」

…なんだか頭が痛くなってきた。何でこうも話が通じないんだろう。僕は大きなため息をついた。

「否…そういうことではなくてですね…」

カペラ・ブラウンと名乗る女子生徒は浅く息を吸ってからこう切り出した。
「面倒だから単刀直入に言うわ。」

「はい?…というか人の話を聴い…」

「スピカ・ホワイトがすっごく,今落ち込んでいるわよ。」

「…なぜそれを僕に言うんですか…?」

と僕は言い掛けたが,
その女子生徒は

"でも,今度は,あたしは,
彼女になにもしてないから。"

と続けた。
その言葉に,気がついた。

「………!貴女,スピカをトイレに閉じ込めた主犯格…!」

「…そうだけど。今はスピカとも話がついてるの。…だからその話はおしまい。」
…なぜ主犯格が僕に話に来るのか。
なぜ僕に言うのか。少し困惑した。

「…あたしは,あんたに聴きに来たの。……で…―あんたはそれでいいの?」

「……はい?」

「物理的な攻撃はしてないかもしれないけど,言葉で傷つけたら前のあたしたちと同類なんじゃないの?」

…僕は少し動揺していた。
…でも―
どうして―,
「…どうして彼女が僕の言葉なんかで傷つくんです?」

「"どうして"…?」

…あ゛ーっ,もう!!シリウスといい,その弟といい,どうしてこうも鈍感なのかしら。

「それくらい,自分で考えるのね。じゃあ,」

私が言いたいのはそれだけ。

そう言い残してカペラは去っていくー。


「…待ってください。」

ピタッ
と,私は
進めていた足を止めて,振り向いた。

「なにか用かしら?」
「僕は貴女たちと同類じゃない。」

「貴女たちがスピカを攻撃したのは逆恨みが理由です。」

「僕は,違う。」

「同類よ,彼女を傷つけたことには代わりないわ。」

「だから僕は彼女がもうこれ以上傷つかないように…彼女から離れたんです…!僕に関わると彼女が傷つくんです…!」

「どうしてそこまでして,彼女を傷つけまいとしてるの?」

「彼女が…―スピカが好きだからです。」

…はっとした。しまった喋りすぎた…と僕は思った。

………。

「…ですって。」

…―え?

「そこにいるんでしょう?」

すると,
柱の影から

ばつの悪そうな表情をした
スピカが
 現 れ た 。


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