3
「レギュラス・アルクトゥス・ブラック!」
……?
自分名前を急に言われてびっくりして振り向くと,見知らぬの女子生徒がいた。
ネクタイの色は真紅と黄金だった。
「探したわよ。」
スピカ(と兄さん)以外にグリフィンドール生知り合いはいなかったし,スピカとももう―…
だから自分に話しかけてくるグリフィンドール生などもういないはずだった。
…でも,なんだか見たことがある生徒のような気がする。
なんだろうこのデジャヴ感。なんだかスピカと出会った時のことを思い出した。
「どちらさまですか?廊下でフルネーム叫ばれるようなグリフィンドールでの知り合いは,いないと思うのですが。」
「…ああ,ちゃんと自己紹介してなかったわね。あたし,カペラ。カペラ・ブラウン!」
「……。」
…なんだか頭が痛くなってきた。何でこうも話が通じないんだろう。僕は大きなため息をついた。
「否…そういうことではなくてですね…」
カペラ・ブラウンと名乗る女子生徒は浅く息を吸ってからこう切り出した。
「面倒だから単刀直入に言うわ。」
「はい?…というか人の話を聴い…」
「スピカ・ホワイトがすっごく,今落ち込んでいるわよ。」
「…なぜそれを僕に言うんですか…?」
と僕は言い掛けたが,
その女子生徒は
"でも,今度は,あたしは,
彼女になにもしてないから。"
と続けた。
その言葉に,気がついた。
「………!貴女,スピカをトイレに閉じ込めた主犯格…!」
「…そうだけど。今はスピカとも話がついてるの。…だからその話はおしまい。」
…なぜ主犯格が僕に話に来るのか。
なぜ僕に言うのか。少し困惑した。
「…あたしは,あんたに聴きに来たの。……で…―あんたはそれでいいの?」
「……はい?」
「物理的な攻撃はしてないかもしれないけど,言葉で傷つけたら前のあたしたちと同類なんじゃないの?」
…僕は少し動揺していた。
…でも―
どうして―,
「…どうして彼女が僕の言葉なんかで傷つくんです?」
「"どうして"…?」
…あ゛ーっ,もう!!シリウスといい,その弟といい,どうしてこうも鈍感なのかしら。
「それくらい,自分で考えるのね。じゃあ,」
私が言いたいのはそれだけ。
そう言い残してカペラは去っていくー。
「…待ってください。」
ピタッ
と,私は
進めていた足を止めて,振り向いた。
「なにか用かしら?」
「僕は貴女たちと同類じゃない。」
「貴女たちがスピカを攻撃したのは逆恨みが理由です。」
「僕は,違う。」
「同類よ,彼女を傷つけたことには代わりないわ。」
「だから僕は彼女がもうこれ以上傷つかないように…彼女から離れたんです…!僕に関わると彼女が傷つくんです…!」
「どうしてそこまでして,彼女を傷つけまいとしてるの?」
「彼女が…―スピカが好きだからです。」
…はっとした。しまった喋りすぎた…と僕は思った。
………。
「…ですって。」
…―え?
「そこにいるんでしょう?」
すると,
柱の影から
ばつの悪そうな表情をした
スピカが
現 れ た 。
- 19 -
← | →
←モドル
★名前変換