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ここわたしのひみつのおはなばたけなの。
かんむり,ふたりにあげるね!
…きみのなまえは?
スピカ!…あなたたちは…?
1.プロローグ
prologue
「レギュラス!レギュラスでしょ?」
こんなに親しげに話しかけられる女子なんて全然心当たりない。というかまだホグワーツに入学して数日,親しい友人なんてまだ出来ていなかった。
「スピカ……?」
―…?彼女の顔を見たとき無意識に声が出ていた。自分の口を慌て押さえる。
「…覚えてる?!」
彼女は顔を輝かせて言った。会えてよかったーずっと会いたかったの!…なんて彼女は僕の手をもってぶんぶん手を振った。
僕はまだ困惑していた。さっきはなんとなく浮かんだ彼女の名前(らしきもの)が口から自然と出てしまっただけで,彼女のこと自体を全然思い出せなかった。
良く見ると彼女は紅いネクタイをしている。僕の兄が頭をよぎる。自然と目尻がつり上がり,眉を潜めた。
グリフィンドールの親しいな知り合いなんていない。
「人違いじゃないですか。僕は貴女のこと,知りません。」
冷たく言い放つ。
「え?でもさっき私の名前…」
「あー…さっきのはなんとなく口に出てしまっただけで…。とにかく貴女のこと見覚えありません。」
自分でもなぜ彼女の名前を知っているのか不思議だった。僕は少し口ごもった。
「レギュは私のこと覚えないかもしれないけど,人違いじゃないよ!レギュラスなんて名前,珍しいし…。」
うつむいた顔の頬に睫毛の影が落ちる。彼女はがっかりした様子で呟くようにこう言った。
「そっか…覚えてないかぁ…。小さい頃よく遊んだんだよー。一緒に。レギュラスとシリウスと。三人で。」
「…そんな覚えありません。」
彼女ががっかりしようが何しようが関係ない。僕は急に馬鹿らしくなって彼女に背を向けて歩き出した。
「ちっちゃい頃はもっと可愛いかったのにね。クールになったねぇ。」
「だから覚えませんって。ついてこないでくださいっ!」
「私もこっちに用があるの!…っておわっ!」
動きがスローモーションになる。階段を登る途中で階段が動き出した。その揺れせいで私は足を踏み外した。
落ちる…っ!
そう思ったそのとき。何かに腕をぐいと引っ張られる。
「…危ない!…気をつけてください。」
「…ありがと!レギュラス。…そういえば昔もこういうことあったよね!」
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