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いつものように,
僕は図書館で本を読んでいた。
―キィ,バターンと,誰かが音を立ててドアを開け閉めした。誰だが知りませんが,もう少し静かに入って来られないんですかね。不快に思って,顔を上げると勇んで図書館に入ってきたスピカの姿が見えた。

―道場破りでもするんですか?
図書館にそんなふうに入ってくるヒト今まで見たことありません。
僕の方に向かって歩いてくるスピカに
思わず話しかけそうになった。―けど,僕は

彼女とはもう関わらない。

「―もう,僕に話しかけないでください。」
「…―どうして?私―」

彼女がその場から動こうとしないので,僕は席を立つことにした。
「レギュ,どこ行くの―…」

「あなたがいると本が読めないので,寮に戻ります。」

スピカは明らかに傷ついた顔をした。
それでも僕は彼女を残して立ち去った。

これでよかったんだ。自分に言い聞かせた。
…それは遡ること1日前。兄さんとスピカの告白事件があったその日。その噂はホグワーツ中にあっという間に広まった。もっとも,スリザリン生の間ではそうでもなかったけど。
"シリウス・ブラックがスピカ・ホワイトに告白した。"

スリザリン生にはあまり広まっていなくとも,他寮の生徒の会話からその噂は嫌でも僕の耳に入ってきた。実際僕は告白現場に遭遇していたし,兄さんが昔からスピカのことが好きなのは知っていた。でも―
噂はとても耳障りだった。

兄さんがスピカに告白したこと事態が問題じゃない。僕がとても不快に感じたのは,噂が"シリウス・ブラックがスピカ・ホワイトに告白した。"ということ
だけ
だったこと。

ふたりが付き合っているかどうかわからないこと,だった。

付き合っているんだって!と言う人も入れば,シリウス・ブラックがふられたんだって!と言う人もいる。噂は様々な憶測が飛び交っていて,真偽はわからない。

廊下で
ふたりで居る,兄さんとスピカを見かけたけど

付き合っているのかどうかまではよくわからなかった。

もし,スピカが兄さんと付き合っているとしたら…
僕は…

あの話を聞いたのはちょうどそんなことを考えていた時だった。

シリウスってさぁあのコって付き合ってるの??なんだっけあの…スピカとかいう名前のコ。

さあ??
あのなんかスリザリン生とも仲いいコだよね?

変わってるよねー

シリウスもどうしてあんなコがいいんだろうねー

どの寮生だったかまでわからなかったが,女子生徒たちがそんなことを話しているのを

僕は
聞 い て し ま っ た …

スピカが嫌がらせをされたのは…

兄さんのことを好きな女子生徒が,兄さんとスピカの仲のいいことを妬んで…

と僕は勝手に思っていた。

でも―

それだけじゃないとしたら…

スピカの嫌がらせは

自 分 の 所 為 … ?

だから

もう

彼女に関わるのは止めよう。

それが僕のした決断だった。

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