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「で…そこのヘタレ犬は何でへこんでるんだい?」
「初めて女の子に振られたから落ち込んでるんだよ。ねーシリウスー?」
「なんでリーマスが答えたんだよ!」
「シリウスが答えられないくらい落ち込んでると思って代わりに答えてあげてるんじゃない。」
「ぼ,ぼくは,それ…逆に傷口に塩塗ってるとおもう…」
…そう?ピーター?そんなつもりはないんだけどなぁ。と,リーマス。くっそー絶対わざとだ!
「俺の扱いひどくね?」
「えぇ?慰めてあげてるのに。」
元気出しなよシリウス,はいチョコレート。
なんて,
リーマスが微笑んだ。
振られるのはわかってたけど,それでも実際に振られるとショックだ。
――"…スピカちゃんが好きだったからなんでしょ?"
リーマスがそう切り出したのは,数時間前。他のみんながいない,二人の時だった。
「…誰ともまともに付き合ってなかったのって。」
よくお分かりで…
リーマスには負ける。なんでも,まるっと,お見通しだ。
「好きだった。大切だった。今の関係壊すのが怖くて告白できないくらい。」
踞まり,膝を抱えたまま,俯きながらシリウスは続けた。
「…でも,あいつが好きなのは俺じゃない。」
リーマスは肩を竦めてから
「…よし,よし」
ポンポン,と,シリウスの頭を軽く叩いた。
「…あれ,俺犬扱いされてる?」
だって犬じゃん。実際。リーマスは悪びれずに言い,笑った――
みんなと話していると気が紛れたし,リーマスに話しを少し聞いてもらったのもあって,少し吹っ切れたような気がした。
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