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「貴女達,見たところグリフィンドール生ですよね。こんな事言いたくありませんが,スリザリン生でもこんな幼稚な事…」

しませんよ。と続けたかったのだけれど途中で

バーン!!

と大きな音がした。大きな音と一緒に声もした…気がする。

閉まっていた扉がいきなり
しかも内開きに開くはずの扉が外に
床に向かって開いた。否,倒れてきたという方が正しい。

「あれぇ?レギュ?」

開いた(倒れた)扉の向こうに呆けた声を出したスピカがいた。心なしか涙目だった。

スピカが大声を上げて扉を叩こうとした瞬間,スピカの魔法のようなモノも発動して術が掛けてあった扉が開いたらしい。

「…カぺラ,ヤバいよ!行こう!」
「でも…」
「いいから行こ!」
カぺラ…さっき喋ってた娘(こ)…リーダー格の娘の名前かな…?
パタパタと走っていく音が聞こえた。

「…なんでぇ?レギュこんなところでなにしてるの?…パーティーは?パートナーは?」

「それはこっちの台詞ですよ。」

レギュラスは溜め息をついて言った。

「パーティーは一曲だけ踊って,抜けてきました。もともと乗り気じゃなかったので。寮に戻ろうとしたらスピカの声が聞こえたので…って大丈夫ですか!?」

へたん…
と彼女はいきなり座り込んでしまった。
「…なんかほっとして気が抜けちゃった。」

私は今あったことに思考回路がついていかなくて,ぼうっとしていた。
ぼうっとしてるのはいつもでしょう,とレギュラスなら言うかもしれないけど。ぼうっとというかちょっと混乱して…

…そっか…てことは,レギュラス隣にいた女の子は別に彼女とかじゃなくて,…助けにきてくれて…よかった…ていうか今日のレギュは


「…綺麗。」

ドレスローブの翠玉みたいな深緑色。

長い睫毛。

漆黒でサラサラの髪。

綺麗に整った顔立ち。

レギュは男の子だけど綺麗って言葉がとてもよく似合うと思った。


「…?…何か言いました?」

あれ?私,今声に出てた!?

「…あ…ありがとうって」

レギュに直接,綺麗なんて言ったら怒りそうだから,代わりに私はお礼を言った。
「…なにがですか?」
「助けに来てくれたんだよね?」

「ありがとう。」

「いいえ…僕は…なにも…というか…スピカは出てきたじゃないですか,自力で。」

「ん?」

レギュラスが何かごにょごにょ言っていたので,照れてる!?と言ったら
拗ねたような,違いますよ,どういたしまして!と,存在な挨拶が返ってきた。そんなレギュラスが珍しくて,可愛くてなんだか私は笑ってしまった。


「…スピカ」

急に改まった声でレギュが言った。

「あの…もしよかったら,僕と一緒に踊りませんか?」

ぐう〜。

私が「はい。」と答える前に答えたのは私のおなかだった。そんなこと言われると思ってなかったからびっくりした拍子に鳴ったみたい。

「…ダンスパーティに行くより,厨房に先にいった方が良いかもしれませんね?」

「…はい。ソーデスネ。」

…恥ずかしい。あぁこんなときに鳴らなくてもいいのに。

「厨房行く前に埃払ってくださいね。」
「え,うわ!本当だ埃まみれ。」

埃っぽいトイレに閉じ込められていたせいで,私のドレスは埃だらけになってしまっていた。きっと髪や頭の上にも埃が付いていたに違いなかった。
その姿は"灰被り"ならぬ"埃被り"だ。


あーあ,パーティ行きたかったなぁと私は溜め息をついた。美味しい料理食べたかったのにー,と言ったら
色気より食い気ですね,とレギュが一刺し。

「厨房で屋敷しもべに作ってもらえますよ。美味しい料理。」

「…そうだね。」


私はシンデレラにもなれない"埃被り"で,魔法もかけて貰えなかったけど

王子様が迎えに来てくれたから,私は他になにも要らないと思った。

サンタさん最高のクリスマスプレゼント,ありがとう。

よーし,パーティに出られなかった分いっぱい食べるぞう!と,言ったら,太りますよ,とまた一刺しされた。

to be continued.




おまけ

「そういえばレギュ,シリウスとお揃いだったね。」
「…っ…あれは!…あれは,アルファード…僕の叔父が送ってきたんですよ。」
「へぇー…あ,手紙!えーと…何々ー,"親愛なるレギュラスへ"。」
「勝手に人宛の手紙読まないでください。」
「"今度ダンスパーティーがあると聞いたのでドレスローブ送りました。"」
「…人の話を聞いてください。」
「"良かったら着てください。あの糞婆バァが送ってきたドレスローブじゃ趣味が悪くて,とても着られないだろうからね!"。」
「…。」
「…えと,糞婆バァってレギュラスのお母様?」
「ええ,そうでしょうね。」
「……会ったこともないのにこんなこと言うの失礼かもしれないけど,シリウスが口悪いのって絶対叔父様のせいだと思う。」
「……。」
「…で,レギュラス,お母様の送ってきたローブは?」
「…それです。」
「……フリフリだね。」
「…。」
「…あ,でもレギュ意外と似合…ってあぁ,杖向けないで,レギュ,杖下ろしてお願いぃ…!」





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