4
私が入ったトイレはあんまり使われて無いらしく,少し埃っぽかった。
早く戻らなきゃ,シリウスが待ってる。
用を足して,トイレの個室から出ようとした。
…ん?…あれ?ドアが開かない!!
鍵は掛かっていないのに(というか,今鍵を開けたのに)ドアは押しても引いてもビクともしなかった。
外から微かに人の気配がした。
「誰かそこに居るの?ねぇ,ここのドアが開かないの!誰かそこに居るなら開けてくれない?」
私はドンドン,トイレのドアを叩いた。
外の声は言った。
「スピカ・ホワイト!」
え?なんで私の名前知ってるんだろ…?
「アナタにはダンスパーティが終わるまではここに居てもらうわ!」
「…どうしてこんなことするの!?シリウスが待ってるの!ここから出して!」
「そのシリウスとみんなダンスが踊りたいの。私達。」
「誰かがシリウスを独り占めするなんてダメ。」
「私,シリウスと幼馴染みなだけで別に付き合ってる訳じゃないよ。」
「それが余計ムカつくって言ってんの!彼女でも無いくせにシリウスを独占しないで!」
………っ
「だからアナタには悪いけど…今日はここで大人しくしてもらうわ。」
声が少し遠くなった。たぶん私に向かって喋ってないからだ。
「…ここ見張ってるから,みんなパーティの方に行ってきて良いわよ。」
「でも…。」
「いいから,行ってきな。」
パタパタ足音がする。何人かがパーティに行ったみたいだ。
他にもなにか話しているみたいだったけど,何て言っているかまでわからなかった。
…なんか腹立ってきた。やっぱりこんなの理不尽だ!
「いいから…
ここから出しなさいよ!!」
私は思いっきり扉を叩いた。
- 8 -
← | →
←モドル
★名前変換