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私が入ったトイレはあんまり使われて無いらしく,少し埃っぽかった。
早く戻らなきゃ,シリウスが待ってる。
用を足して,トイレの個室から出ようとした。

…ん?…あれ?ドアが開かない!!

鍵は掛かっていないのに(というか,今鍵を開けたのに)ドアは押しても引いてもビクともしなかった。
外から微かに人の気配がした。

「誰かそこに居るの?ねぇ,ここのドアが開かないの!誰かそこに居るなら開けてくれない?」

私はドンドン,トイレのドアを叩いた。
外の声は言った。

「スピカ・ホワイト!」

え?なんで私の名前知ってるんだろ…?

「アナタにはダンスパーティが終わるまではここに居てもらうわ!」
「…どうしてこんなことするの!?シリウスが待ってるの!ここから出して!」
「そのシリウスとみんなダンスが踊りたいの。私達。」
「誰かがシリウスを独り占めするなんてダメ。」
「私,シリウスと幼馴染みなだけで別に付き合ってる訳じゃないよ。」
「それが余計ムカつくって言ってんの!彼女でも無いくせにシリウスを独占しないで!」

………っ

「だからアナタには悪いけど…今日はここで大人しくしてもらうわ。」


声が少し遠くなった。たぶん私に向かって喋ってないからだ。

「…ここ見張ってるから,みんなパーティの方に行ってきて良いわよ。」
「でも…。」
「いいから,行ってきな。」

パタパタ足音がする。何人かがパーティに行ったみたいだ。
他にもなにか話しているみたいだったけど,何て言っているかまでわからなかった。

…なんか腹立ってきた。やっぱりこんなの理不尽だ!

「いいから…
ここから出しなさいよ!!」
私は思いっきり扉を叩いた。




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