01



試験が終わってすぐにアルはネテロの元に行った。何をするかなどは決まりきっていた。足音か気配か、どちらかは分からないが近付くと待っておったよと老人は振り向き様ににやりと笑った。

「合格でもしたら聞けと言っていたはずだけど?」
「お主もう敬語が消えとるの」
「誤魔化すのはやめてくれないか」

早く本題に入らせろ。目は口ほどに物を言う。
わざとらしく咳をすると話を始めた。

「不死鳥とはこの世界中で何処にも確認されとらん、大昔に絶滅した幻の生き物と言われとる。じゃがお前さんは二次試験のときに鳥の姿へと変わりおった」

見られていたのか、と今更知ってもハンター協会の上層部に知られたのでは意味もなくなってくる気がした。

「お主が不死鳥の仔を知っとるのは儂と試験官くらいじゃ。表面上は何でも屋で通っとるようじゃが勘の良い奴らは気付くだろうのう」

勘の良い奴、と聞いてすぐに思い浮かんだのは金髪の青年と少年の半ばくらいの彼で。もし知っても彼ならば秘密は守ってくれそうだがどうだろうか。それに、だ。

「私の正体を知っている奴も少なからずいる。理解のある奴らならこちらから協定を結ぶこともできる。」
「取引の対価は自分自身、ということかい」
「そうだ。生き延びるために利用できるものはなんだって使うさ。」

相手を死に至らせる力、賢く狡猾に使う知恵、膨大な情報。たくさん得てきたものは自分が生き延びるためのものだ。ネテロがそうかと口をつり上げたのを見て何か不味いことを言ったのを悟った。私もまだまだということだろうか。

「利用する、というならこのハンター協会もかの?」























「アル!!」
「…った…」
「ボーッとしてるけどどうしたの?もうククルーマウンテンに着いたよ?」
「ゴン…耳元でいきなり叫ばないでくれる?」

どうやらぼんやりしていたようで何度も声をかけてくれてたらしいが生憎そんな記憶は無い。デジャヴ感を感じながらバスを降りると1から7までの印がついている大きな門とその横についている小さなドア。奥の山は死火山らしく炎の気配は感じない。門の向こうは全てルディック家の私有地。あの姿になればこの門なんて簡単に越えてしまえるのだが、その先にいる門番は少し厄介なのだ。

二人の男がドアを蹴破って中にいた中年の男から鍵を奪い取るとそのまま奥へと消えていった。ゴンが駆け寄ると尻餅をついた男は大丈夫だよと笑うと奥のドアを見てため息をついた。

「ミケー!太っても知らないよー!!」
「ミケ?」

三人がはてなマークを頭に浮かべ、私はドアの奥から悲鳴と肉を引きちぎる男を聞いた。ドアが開いて低いうなり声のような声と一緒に伸びた獣の腕が骸骨を二つよこした瞬間、周りはパニック状態になり元々ここが目的地だった四人を置いてあっという間に下山していく様をぼんやりと眺めていた。









×