14 面接から3日。これといったイベントはなくほとんどの受験生が次の試験にやきもきしていたが特に何の連絡もないまま、試験会場であろうホテルに到着した。 正方形のタイルが敷き詰められた広いホールにはネテロを含む試験官と黒いスーツとサングラスの格好の男たちが勢揃いしている。 最終試験は一対一のトーナメント形式で行うらしく、トーナメント表は歪な形をしていた。どうやら負け上がりになっていくらしく、一番上の一人のみが不合格。しかし誰にでも2回以上は勝てるチャンスがあるとはいえこれでは公平とは言えない。まぁ自分はそれなりにチャンスがあるので文句など無いのだが。 「何か質問は?」 「組合せが公平でない理由は?」 「まぁ尤もな質問じゃな。この組合せは今までの試験の成績を元に決められとる。」 「…んー、じゃあこれは成績が良いほど組合せの数が多いということかな?」 「その通りじゃ。」 キルアは納得がいかないらしく、内容を聞いたがあっさりと突っぱねられ、採点の方法の話を聞いても納得していないようだ。 「印象値…か、なるほど。」 「なんだよ、お前は納得したのかよ」 「大体ね。」 だとすれば皆の面接の内容も大方想像がつく。ハンターになる目的はさすがに分からないが、注目する相手と戦いたくない相手。確かに贔屓目はあるがこれなら納得はいくだろう。 「戦い方も単純明快。武器OK、反則なし、相手に「まいった」と言わせれば勝ち!ただし相手を死に至らしめてしまった者は即失格!その時点で残りの者が合格、試験は終了じゃ。」 「クラピカお疲れー。ゴンとクラピカは合格か」 「…あぁ。」 第二試合が終わって声をかけてみたが当の本人はどこか上の空だ。さっきの一言が何かあったんだろうと思っているがこうも反応が薄いとつまらない。 「次はアルだろ?頑張れよ!ゴンの仇を取ってこい!」 「いや死んでないから」 おそらくボロボロにされたゴンの分も殴ってこい、ということか。結局最後に殴られて気絶しているゴンだがああいうのも彼の性格故だろう。 「第三試合、ハンゾー対アル!」 「女相手ってのもやりにくいな」 「はは、私を女と甘く見るかい?女としてここまで残っていることがどういうことか わかるよね」 「…ッ!!」 それは男と並んでも遜色ない程の実力があるということだ。ざ、と血混じりの風が一陣舞い、腰に提げた短剣が浅くだが腕を長く裂いた。このスピードに反応したか、と自然に口角が上がる。 「言っておくが私はあいつほど意思は堅くない。実力差があればすぐに諦めるさ。」 勿論口八丁で煙に巻くのもできなくはないがそんな小手先はいらない。面倒だ。 「だったらさっさと諦めるんだな。俺が本気を出せばこんなもの、」 「通用しない、か?」 なかなかの早さの攻撃だ。だがそれは簡単にいなし、ハンゾーにカウンターの蹴りをお見舞いするとそれなりの距離を飛んで転がった。 「悪いね、私は小手先の策なんて面倒だからそうそう使わなくて。」 「…ぐ、」 「どっちかっていうと力で捩じ伏せる方が得意なのよね。」 ふふ、と笑って見せても相手は怯えの表情が拭えてない。ゴンのときとは真逆だ。ブーツの足音はごく小さなもので自分の声はよく響いた。 「ゴンくらいの年には人を殺した…って言ってたっけか。私もあったなぁそんなこと。」 今まで何回、何十、何百この手を赤黒く染めてきたかなんてもう数えることすらできないしこれからもそれは続いていくだろうが、これだけは忘れることはない。 「殺されることに、私はどれだけ恐怖したか。」 す、と短剣を抜いて倒れているハンゾーの首元に宛行うとぴくりと動いた。あっこっち見た。 「まいった。降参だ。」 「もう終わりか。つまんないの」 まるで人が変わったようだったと皆に驚かれたのを知ったのは合格を言い渡されて元の観戦していた場所に戻った時だった。 ← ×
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