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「おー、あの島か」
「みたいだな。」

「それでは、第3次試験の通過時間の早い人から順に下船していただきます!」

「ありゃー…バラバラに下船しちゃうね」
「んじゃアルから俺の方に来て。」
「了解。それまでちょっと島彷徨いてみる」

「それでは一番の方スタート!!」








「とりあえず、なんとかなりそうな感じだな」

島に着いてから半日ほどたっただろうか。そろそろキルアと合流しようかな…

「…はぁ。ほんと嫌になるなぁ」

誰かに尾けられている。敵意はないから放っているけどこれじゃ空からは無理だから徒歩で探すしかない。

「ゴンみたいに鼻が良かったらいいんだけど、そうもいかないか。」














3日経った。残念なことにキルアは未だに見つからない。あいつの気配が全然しないんだよなぁ…どこほっつき歩いてんだか。

「…あ。」

レオリオだ。トンパと何か話してる。気配がいくつか、そのうちの一つはレオリオに、もう一つは私に近付いている。

そちらを見ずに鞘付きの刀を向けると僅かに驚いたらしく息を飲む音が微かに聞こえた。

「気付かないとでも思った?クラピカ。」
「分かっているならその剣を仕舞ってくれ。」
「…なんでほっといてるの?」
「トンパが私のターゲットだからな。油断したところを叩く。」
「あぁ。そういうこと。」

ここ数日でレオリオの扱いがなんとなく分かった気がした。

「アルは猿を連れている男を頼む。」
「りょーかい。んじゃまた後でな」

つまりは相手のプレートを奪え、ということだ。サバイバルなんだから勝った奴が強い。それがどんな手段であろうとも。





「やっほープレートくれや」
「な、なんだお前!」
「お前じゃねぇんだよ。そっちの猿に聞いてんの」
『なんだお前、ご主人に楯突くのかー?』
「主人が主人なら飼い猿も飼い猿かよ。はーつまんねぇ。早くよこせってんだ。」

早くキルアと合流するためにもさっさとプレートが欲しいんだけどなぁ…こんなとこで時間取られたくないんだけど。
殺気を放つと相手はひ、と情けない声を上げて尻込みをしてしまった。猿も飼い主に隠れてけっこうなことだ。

「だからさぁ…プレートくれたらそれでいいんだよ?なんでそんな驚くかなぁ」
『わ、分かったよー!』
「あっ、おいこら!」

飼い主の止める言葉も聞かず猿は木の根元の割れ目からプレートを取ってきて差し出してきた。おそらくこれかな…?

「ったく、気配も読めなかった…なんなんだあいつ」
「何って、ただのハンター試験の受験生だよー?」
「な、なんで聞こえて…」
「ざーんねん。私地獄耳なんでね!プレートありがとね」

403と118が書かれたプレート二枚を貰ったところでちょうどよく足音が聞こえてきた。

「加勢に来たぞ!!…って」
「…どうやらその必要は無かった様だな。」
「やー。二人とも遅かったね」

うっすらと汗をかいているらしい二人にプレートを投げるとぐるりと辺りを見回す。…お、あっちから微かにキルアの気配。

「アル、私たちと組まないか?」
「おぉっそりゃ名案だな!アルとなら百人力だぜ!」
「ん、わりぃ。先客がいるからまた今度ねー。」

早くしないと見失うな…二人には悪いけど挨拶もそこそこに私は走り出した。試験が終わったら謝っとこうかな。









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