冬の朝



「バッカニア…離して」
「…………むー、さむい…」

短い夏が過ぎ、あっという間に秋も終わり、冬の色が日に日に濃くなってきた。
バッカニアの寝起きが悪くなる。
「もう…私今から仕事だから!離してってばぁ!」

うーん、と躯に貼り付くバッカニアを剥がそうと試みるけれど、彼の方も剥がされまいと同じくらいの力でくっついてくる。
もっとも、バッカニアは軽く抱き着いているようで、自分の非力さを痛感する。

「バッカニア…!!」
「……むぅ…寒いと言ってるだろ…」

確かに裸で抱き合っているとその温もりは心地よく、手放したくなくなるのはよく分かる。

「寒いからって…!私が遅刻しちゃう!」

規律の厳しい軍にあって、遅刻程恐ろしいものはない。その上ここは北軍だ。女王様の雷が直ぐ様落ちるだろう。
それは大変だな…などとむにゃむにゃ無責任な寝言を言い出す始末。

「もぉ〜〜〜〜っ、離してぇっ!!」
「ぐー………」

二人の時は子どもの様に甘えてくるバッカニアが、この頃の悩みの種である。




fin
   
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