サンドイッチとスコーンを完食した2人は、再び論文に取りかかった。

それから数時間。

「終わった〜」

「此方も終わった。特に問題も見受けられなかったから、このまま提出しても平気だろう」

バサリ、と束を机に置いて肩を解すレイトンに、手伝いが資料作成から誤字脱字のチェックに移行していたデスコールが声をかけた。

「本当かい?助かったよ。ありがとう、デスコール」

言いながら窓を見たレイトンの動きが止まる。

「もうこんな時間か」

レイトンが窓を見ると同時くらいに、デスコールは時計を見て呟いた。

「…レイトン?」

ギギギと音がしそうな動きで、デスコールの方を向いたレイトン。

「こんな時間まで手伝わせすまなかったね」

「どうせ暇だったからな。気にするな」

論文の束を封筒に詰め、タイトルを書き付ける。

「字、綺麗に書けるじゃないか」

デスコールが書いた字を見て、レイトンがポツリとこぼせば、デスコールが肩をすくめた。

「失礼だな。書こうと思えば書ける」

「だって君の字…ミストハレリでは汚かったじゃないか」

「アンブロシアで私が書き起こした楽譜は、読んでいただろう」

「あぁ、読めたね。」

「………」

「もしかして、気にしていたのかい?」

レイトンの、悪気のない一言にデスコールはムスッとした。

「デスコール?」

ムスッとしたまま立ち上がったデスコールの動きに、レイトンが鞄を取るために背中を向けた瞬間、バサリと布がはためく音がした。

「変装、解くのかい?」

レイトンが振り向けば、普段通りの格好をしているデスコールが立っていて。

「この時間なら、お嬢さんも他の人間も居ないからな」

プイっと顔をそらしたデスコールの主張に、レイトンは微笑んだ。

「さ。戸締まりをして、帰ろうか」