教材を抱えたレイトンが研究室に戻れば、其処には優雅に紅茶を飲む不法侵入者。
「…デスコール」
呆れ混じりで名を呼べば、聞こえていないと思った相手が振り向いた。
「読みたいと思っていた本を君が手に入れた、と聞いてね。読みに来た」
「紅茶は持参かい?」
「あぁ。飲みたければ、カップを出せばいい」
早々にレイトンから本へと顔を戻したデスコールは、読書を再開させた。
「君、不法侵入する度に、茶葉を持参する気かい?」
教材を適当な場所に置いたレイトンは、ふぅ、と溜息を吐いた。
「読みたいなら貸すから、不法侵入は止めてくれないかな?」
カップに紅茶を注ぎながら頼めば、レイトンに顔を向けたデスコールが首を傾げた。
「何故?手土産を持参しているだろう?」
本当に解らない、という雰囲気のデスコールの横に腰掛けて、レイトンは簡単な事だよ、と前置きをした。
「茶葉の種類が増えるとね、レミに訊かれるんだよ。君が置いていった、なんて説明出来ないからね」
「なる程。なら、次からは変装して来るとしよう」
「堂々と、ドアから入ってね」
納得したらしく、頷くデスコールにレイトンは笑いながら付け足した。
「大人しく、学生のフリでもするさ」
「なら、前の姿でお願い出来るかな?」
「解った。コレは借りていく」
「うん」
話し合いが一段落ついて、デスコールが淹れた紅茶も無くなった頃、何を思ったのかデスコールは徐にレイトンが要望した青年の姿になると、扉から出て行った。
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