「シキ!勝負しろ!!」
建物の角を曲がったばかりで、ヒラリと舞う黒のロングコートの裾を視界に捉えたリンは、走りながら叫んだ。
相手の足音で立ち止まったと判断して、飛び出す。
「リン」
建物の角から飛び出したリンが見た相手は、アキラだった。
「アキラ!?その格好は何?てか、シキは?!」
リンの目の前に居るアキラの格好は、シキとデザインが似ているロングコートにレザーのパンツと臍出しの上着。
ご丁寧に、肘近くまで長さのある手袋までしている。
「これ?シキが」
「アキラ!何でそこまでアイツの言うこと聞いてんの!?」
アキラの説明を遮る様に叫ぶリンに、当のアキラは首を傾げる。
「何でって、シキに意見したって無駄だろ?」
「そりゃ、そうかもしれないけど」
「…シキなら、今日は別行動だから、何処に居るか判らない」
アキラの服装に納得いかないらしいリンが唸っていると、アキラはリンが探している相手の事を教えた。
「別行動?何時も一緒じゃないんだ?」
「…結構、別行動してるけど?」
首を傾げたリンに、アキラは不思議そうに答えた。
「本当に?………じゃあ、シキの前に相手してよ。アキラに勝てば、いくらシキだってまともに相手してくれるよね?」
「…勝てれば、な」
リンの言葉に、抜刀しながらアキラは答えた。
「勝つさ!」
意気込むリンとは対照的に、アキラは面倒そうに刀鞘を握る。
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