数ヶ月前、知り合いに遭遇したシキとアキラだったが、この2人の生活が変わることは無かった。

街から街へと流れつつ、資金が尽きれば裏の仕事をする。

そんな生活を続けていたある日、食料や、使う回数が少ないとはいえ、やはり必要な医薬品を求めて今までよりも復興が進む大きめの街に立ち寄った2人の前に、見知った相手が現れた。

「・・・リン?」

キラキラと輝く金髪に、青い瞳。

色彩の違いさえ目を瞑れば、シキと似通った顔立ちの男―リン―がアキラとシキの前に立つ。

「・・・・・・何のようだ」

アキラを背後に、シキはリンに向かい合う。

「今回こそは、アキラに邪魔させない!シキ!!勝負しろ!」

鞘に納まったままの刀をシキに向けて啖呵を切るリンに、シキが溜息を吐いた。

「シキ?・・・俺が」

シキの溜息が聞えたアキラが前に出ようとすると、シキがアキラを軽く押さえた。

「俺が相手しよう」

シキの楽しそうな声音に、思わず顔を見ると、うっすらと笑みを浮かべており、アキラは背筋がゾッとする感覚に襲われた。

「シキ?」

アキラが恐々と声をかけると、シキはそのアキラに鞘を渡した。

「すぐに済む。大人しく待っていろ」

押し付けられた鞘を持ち、アキラはシキとリンから距離を置いた場所に立つ。

アキラの立ち位置を確認したシキは、リンと向かい合うとアキラが見た笑みよりも、冷たく、綺麗な笑みを浮かべた。

「っ!!」

その笑みを正面から見たリンは、言い表せない程の恐怖を感じた。

無言で刀を構えるシキに気圧されつつ、リンも刀を構えた。

そして、シキの言った通り、勝敗はすぐに着いた。

驚きの余り、声も出せずに蹲るリンの横に、刀身を折られた刀が一振り。

そのリンの正面に立ち、鈍く光を放つ刀を持つシキ。

「これ以上は無駄だ」

リンに言い放ちながら、シキがアキラに視線を流すと、アキラは預かった鞘を持って走り寄る。

「・・・せ、よ。〜〜〜っ!殺せっ!!」

シキに向かって怒鳴るリンに、アキラが驚くが、シキは平然としている。

「死にたければ、コイツの目の届かないところで勝手に死ねばいい」

アキラから受け取った鞘に刀身を収めると、リンに冷たく言う。

「なっ・・・」

シキの余りの物言いに、リンとアキラが絶句しているのを見て、シキはニヤリと笑った。

「行くぞ」

身動ぎ一つしないリンを放置して、シキはアキラの腕を掴むと歩き出す。