「アキラ…変わったね」

リンと源泉が言えずにいた事をケイスケが申し訳なさそうにアキラに言った。

「ケイスケ…俺、そんなに変わった、か?」

「うん。何か…俺の知っている頃と、随分と雰囲気が変わったから」

ケイスケに言われて、アキラは首を傾げたがシキは興味なさそうにしているだけ。

「なぁ。2人もそう思うのか?」

シキに訊いてもラチがあかないと理解しているアキラはリンと源泉に訪ねた。

「あぁ〜。まぁ、おいちゃんはトシマでの数日間しか知らないけどな。確かに変わったと思うぞ。だが、悪い事じゃない」

「認めたくないけど…シキの雰囲気も多少は変わっていると思うよ」

アキラの問いに源泉とリンのそれぞれが意見を述べた。

「そうか」

2人、正確には3人に『変わった事』を肯定されたアキラは少なからず落ち込んでいた。

そんな4人のやり取りを見るとも無しに眺めていたシキがアキラの腕を掴んだ。

「そろそろ行くぞ」

「判ってるよ…あ……」

シキに腕を引かれたアキラは3人を振り返ったが、かけるべき言葉が見つからずに黙り込んでしまう。

「アキラ。またね」

「元気でやれよ」

「…アキラ……」

上からリン、源泉、ケイスケの順でアキラに声をかけると、アキラが僅かに頷いた。

シキがアキラを引き摺り気味に立ち去った後、地面に崩れ落ちたリンにケイスケは手を差し出した。

差し出された手を掴み、軽く弾みをつけて立ち上がる。

「追っ手を追い払うのも、お前さんと戦うのも、あの2人にとってはお遊戯と一緒ってわけか」

顎鬚を撫でながら、ニタニタと笑う源泉にリンが苦虫を噛み潰したような表情を浮かべ、ケイスケは何処か清清しい表情をしている。

「俺。良く判らないんですけど、アキラが幸せなら、それでいい気がするんです」

ケイスケの言葉に源泉が頷き、リンが再び地面に崩れ落ちた。

「遊戯…シキだけじゃなくて、アキラにまで……遊戯」

ブツブツと呟くリンからは負のオーラが漂っている。

「源泉さん。リンが怖いんですけど」

地面に転がる瓦礫に向って何かを話しかけだしたリンを指差すケイスケ。

「あぁ。アレはほっとけ」

そんなリンを無視して、源泉はケイスケの肩を軽く叩いてリンから視線を外させた。