「ア〜キ〜ラ〜〜・・・・・ごふっ!」

飛びつく様に走り寄ってきた相手を見ずに、アキラは左手に持っていたシキの鞘で殴り飛ばした。

「け・・・ケイスケ?」

ずしゃ、と無様に地面に倒れこんだ相手を確認したアキラに、ケイスケは起き上がると元気に抱きつこうとした。

「!?」

抱きつこうとしたケイスケを、今度は右手に持つ、自分の刀で殴りつける。

「あ、アキラ。酷い」

咄嗟の行動で手加減が出来なかったアキラは、ケイスケを助け起こそうとして止めた。

「何をしている?」

ヒュッ、と刀を振ったシキがゆったりとした足取りでアキラに近付く。

「もう、終わったのか?」

倒れたままのケイスケに背を向けたアキラは、シキに鞘を返した。

「アキラ?」

アキラに無視されたケイスケは、今にも泣きそうな声でアキラの名前を呼ぶ。

「あの程度なら、お前でも勝てるだろう」

受け取った鞘に刀を納めながら、シキはリンを振り返る事もなく言う。

「あの程度って」

悔しそうな表情を浮かべて地面に座り込むリンにアキラが視線を向ける背後で、源泉の助けを借りてケイスケが立ち上がる。

「で?お前さんがた、感動の再会は終わったのか?」

源泉がからかいながらシキに話しかけると、アキラが首を傾げる。

「アレの何処が『感動の再会』なんだ?」

シキの傍に立ち、源泉に問いかける。

「ん?感動じゃないのか?」

アキラの問いにしれっと返す。

「シキ!まだだ!」

肩で息をしながら立ち上がるリンに、シキはチラリと視線を流す。

ゆっくりと息を整えたリンが再び構えを取ると、シキに向かい合う。

「下らんな。アキラ。お前が行け」

つまらなそうに言うシキに、アキラは呆れながらも、リンに向かい合う。

「アキラ?」

リンの目が驚きで見開かれる。

驚くリンを正面に見据えながら、アキアは己の刀を抜いた。

「おいおい。アキラとリンを戦わせる気か?」

アキラとリンを戦わせようとしているシキを慌てて止める源泉に、シキは鼻で笑う。

「おい。アキラに勝てないようでは、俺の足元にも及ばないぞ」

冷笑を浮かべながらシキはリンに言い放つ。

「くっ・・・アキラは、アイツの言いなりになって、俺と戦うっての?」

リンが視線をシキからアキラに移すと、アキラはトシマでは見せた事も無い様な冷めた笑顔を浮かべた。

「アキラ?」

「2人の間に何があったか、何て正直、どうでもいいし、シキの言いなりになってるつもりも無い。戦うのは、俺の意思だ」

ゆっくりと、シキと同じように構えたアキラに、リンが戸惑いつつ構えた。