「貴様は何をしている?」

シャワールームのドアにもたれ掛かったシキ。

そのシキの目線の先には、水を浴び続けるアキラ。

「風邪をひく気か?」

呆れつつ、シキはアキラをシャワーの下から引き摺りだすと、コックを捻って水を止めた。

シキは手近にあったタオルを掴むと、アキラの髪を拭いてやる。

「……シキ。ケイスケが」

ボソリと呟くアキラに、もう1枚のタオルを渡すとシキはシャワールームから出て行った。

頭にタオルを乗せたまま、アキラは体を拭くとそのまま体に巻きつけて、シャワールームから出た。

「服を着てから出て来い」

ベッドに腰掛て、刀の手入れをしていたシキはアキラの姿を見て、溜息を吐きながら注意する。

「シキ…」

ふらふらとした足取りで、歩くアキラを不信に思い、シキが刀身を鞘に収めたと同時に、アキラはシキの胸元に倒れこんだ。

抱きとめたアキラの体は、水を浴びて冷えていたはずなのに熱い。

「馬鹿が。この寒空に水なぞ浴びるからだ」

アキラが体に巻きつけていたタオルを剥ぎ取り、ベッドに横たえる。

シキは刀を手近な壁に立て掛けてから照明を落し、アキラの隣に潜り込むと、発熱しているせいで呼吸が荒くなってきているアキラを抱き締めて瞼を閉じた。