薄暗い路地裏に降りしきる雨。

足元に蹲っている青いツナギの男。

「ケイスケ」

声にならない声で、相手の名前を呼びながら、アキラは『今』が夢である事を理解していた。

何故なら…ケイスケを殺したのは己自身だから。

知らなかった…偶然だった。

そして、不幸が重なった。

「お前は、俺を憎んでいるのか?」

相手が死んでいる以上、答えが返らない質問。

当然、答える声は無い。

降る雨が酷くなり、視界が悪くなる。