−Side 2人−

雨は止む事なく降り続き、足音をかき消して人の気配を希薄にする。

「アキラ。何をしている」

多少の距離を取り、アキラの後ろからシキが声をかけると、アキラはゆっくりと振り向いた。

「…シキ?」

「腑抜けた顔を晒すな。と、何度言わせる気だ」

振り向いたアキラは今にも不安に押し潰されそうな表情をしてて、シキの姿を認めても微動だにしない。

「行くぞ」

シキは動こうとしないアキラに声をかけて、右腕を掴むと引き摺るように移動した。

「ちょっ…シキ!」

突然、強い力で腕を掴んで引き摺るように歩きだしたシキ。

シキは広場に出る事をせずに、アキラが倒した追っ手の屍の横を通り過ぎて奥の廃ビルに入る。

警備員の詰め所みたいな場所をシキは探し出し、湯が出るかを確認した後、アキラに備え付けだったらしいタオルを押し付けてシャワールームに押し込んだ。

「なっ!?」

「風邪をひかれては敵わん」

そう言うとシキはいなくなった。

アキラがバスタオルを体に巻いてシャワールームから出ると、シキが入れ違いにシャワールームに消えた。

シキがシャワールームに消えてから、アキラはストーブが点いていて、部屋が暖められている事に気が付いた。

無駄に整えられたストーブの前に座り、シキがシャワールームから出て来るのを待つ。

暫くして、シキが服を片手に出てきた。

「あ…シキ。どうして、ストーブなんて点けたんだ?」

「この気温では服が乾かん」

「……あっ!!」

アキラの質問に返ってきたシキの返答に、アキラは一瞬悩んだが、すぐに言わんとしている事が解かり、慌ててシャワールームに駆け込んだ。

バシャバシャと音が暫く続き、戻ってきたアキラは片手に軽く洗った服を持っている。

「何処に干すんだ?」

既に2人分のコートと自分の分の衣服を干して終わっていたシキに問いかけると、ハンガーを渡され開いているスペースを指し示される。

アキラは示されたスペースに衣服を干してから、シキの側に畳んであったシーツを体に巻きつた。

シキも同じような格好になっているが、そんな事などお構いなしに刀の手入れをしている。

必要最低限の荷物で移動しているために、着替えなどと言うものは持ち合わせていない。

普段は雨に濡れたからと言って、こんな格好はしないが、びしょ濡れになったうえに、一度服を脱いだのだ。

濡れたままの服など着たくはないし、風邪を引く。

そう考えてアキラは大人しくしている。

「何時までも此処にいる訳にはいかん。夜が明けたら発つぞ」

「雨が降ってても…か?」

「……」

アキラがシキに確認すると、視線だけで肯定された。

「解かった」

意地を張っても仕方が無いので、同意するとシキはストーブの温度設定を少し低くした。

「…?何で低くするんだ?」

「……」

シキは無言のまま、唇の端を持ち上げて笑った。

「シ…キ?」

嫌な予感がする、とアキラが後退りしようとした瞬間、シキの腕がアキラを押し倒した。

「!?…シキっ!!」

驚いた所で既に遅く。

シキに組み敷かれていた。

「なっ……んぅ、ふっ」

抗議の声は発せられる前にシキの唇によって、塞がれた。

シキの舌は、アキラの口内に容易く侵入し歯列をなぞりながら、アキラの舌をからかう様に突付く。

アキラは一瞬だけ戸惑う素振りを見せたが、深くなる口付けに素直に従順になる。

「はぁ……んっ」

アキラが必死にシキの口付けに応えている間に、シキはアキラが纏っているシーツを捲る。

シャワーから出て、タオルとシーツを巻いただけの体はすぐに素肌を現した。

「はっ…はふっ」

シキはアキラの唇を解放すると、そのまま首筋を辿って唇を這わせる。

「んっ。あ、やぁ」

ビクンと跳ねるアキラの体を押さえつけて、胸の飾りを口に含む。

アキラの肌を撫で回していた手で、臍のピアス−所有の証−を弾くとアキラから悲鳴の様な嬌声が発せられる。

チラリと視線を落せば、アキラの雄は頭が持ち上がり始めていて、フルフルと震えている。

ピアスを弄んでいた手をずらして、そっと触れてみれば。

「やっ…あぁんっ」

アキラから甘い声が上がる。

それを聞き、シキは触れた雄を握りこむ。

「やっ。シキっ!!」

「大人しくしていろ」

己の雄を握り込まれて、慌てたアキラが片手で制しようとしたが、シキが聞くはずもなく。

手を上下に動かしたり、先端を引掻くようにすると、アキラの抵抗は弱々しくなり、先走りが零れ滑りが良くなる。

にちゅっ、くちゅっと音をさせる雫を空いた片手で掬い取り、アキラの後ろへと持っていく。

「あっ、や。シキ。待てっ」

嫌がるアキラを無視して、シキは奥の窄まりに指を1本埋め込んだ。

「ああぁっ」

奥まで押し込んで、内側を掻き回せばアキラの腰が跳ねる。

その様子を見て、シキは埋め込んだ指の数を2本、3本と増やして蠢かす。

「あんっ…はぁ。んあっ」

アキラはシーツを握り締めて快感をやり過ごそうとするが、それすらシキにバレていて。

「そろそろか?」

シキは指を引き抜くと、開かせていた脚を抱え上げて体勢を正してから雄を宛がう。

「ん…シキ」

アキラが己の名を呼んだのを合図に、宛がったモノを押し込む。

「ひっ!…あうっ。ああっ」

背を仰け反らせて、アキラが喘ぐ。

「くっ…」

余りの締め付けにシキも微かに声を漏らす。

アキラを気遣う事をせずに一気に奥まで押し込んで、ギリギリまで引き抜く。

シキはアキラが感じるポイントを的確に穿ちながら、腰を掴んで揺さ振る。

「あっ、はぁん…ああっ……んあっ」

揺さ振られるままにアキラは喘ぎ、体内のシキを締め付ける。

シキの動きが段々と早くなり、アキラも射精感を堪えきれなくなる。

「シキっ…も、ダメッ!」

途切れ途切れに、アキラが言うとシキは耳元に口を寄せた。

「我慢するな。イけ」

耳に心地よい声音でそう囁くと、穿つスピードをあげた。

「ひぃっ!!あうっ……シ、シキっ」

アキラはシキの名前を呼びながら達し、シキは達した事によるキツイ締め付けでアキラの中に放つ。

ふぅ、と一息着いてからアキラを見ると、意識を飛ばしていた。

「…流石に疲れたか」

気絶する様に眠りについたアキラの前髪を優しく梳いてから、シキは挿入したままだった己を引き抜く。

すると、ゴポリと白濁とした体液が後秘から溢れてきた。

シーツでソレを軽く拭って後始末をすると、シキはアキラを抱き締めて眠りについた。