−Side shiki−

先刻まで小降りだった雨足が本格的になり、激しさを増した。

「…馬鹿が」

シキは小さく呟くと歩き出した。

まだ雨が小降りの頃に複数の追っ手…シキを狙うチンピラ風情とアキラを狙う軍関係者達をそれぞれに担当して切り伏せて行くうちに、アキラの気配が追っ手と共に遠ざかっていくのをシキは感じていた。

そして、全てを切り伏せて辺りを見回せば、アキラの姿は無く。

シキはアキラの気配が消えた方向へ足を向けた。

歩く内に雨足は酷くなり、どしゃ降りになった。

強くなる雨足に加わる風を気にも留めず、シキは歩き続けて少し開けた場所に着いた。

そこにはアキラを狙っていた軍人らしき屍。

だが、アキラの姿はない。

「世話の焼ける」

シキは来た道を引き返そうとして、瓦礫の脇に道を見つけた。

まさかな…そう思いつつ、確認してみると、人が通った様な後が残っていた。

確信は無いが、その道を歩く。