コンコン−

「アキラか。入れ」

扉をノックする音に、すぐさま入室の許可が下りる。

此処はシキの書斎で、立ち入る事が出来るのは、部屋の主であるシキ以外には、秘書も務めるアキラのみ。

「失礼致します」

開ける前に一言、言ってから扉を開けると、シキはアキラを待っていたのか椅子に腰掛けて、寛いでいた。

「総帥。リンとケイスケですが、やはりラインについては詳しく知らないようです。いかが致しますか?」

アキラから報告を受けたシキは、薄く笑うと3枚の書類をだした。

「それは?」

「3人の入隊許可書だ。源泉は研究室へ。他の2人の所属は任せる」

机の上に無造作に投げ置かれた書類に目線を遣れば、正式な書類で、源泉の分だけは既に受理されている。

「…解りました」


後日。

源泉は研究室に入り、リンとケイスケはラインを使わない事を前提にした部隊に配属、城の警備専門に回された。

シキはアキラの判断に口を挟むことなく、書類を受理し、時折リンをからかって遊んでいる姿が見られた。



「…またか」

「アキラ…様。あの…」

リンをからかって遊ぶシキを見つけたアキラに、ケイスケが話しかけるが『様』を付ける事に抵抗があるのか、言いよどむがアキラは気にしていない。

「総帥。時間が押しています」

シキを書斎に連れ戻すべく、アキラが声をかけた。