2月14日。

バレンタインデー当日。

前日までアレだけ騒がしかったのに、城内は静かになっていた。

城に着いて直ぐにアキラは厨房に向うと、コック長に頼みごとをした。


その日の午後お茶の時間。

QUEEN'S HOPEに甘さ控えめのチョコクッキー。

「きちんとした物がご用意できずに、申し訳ありません」

謝るアキラ。

それに対してシキは。

「気にするな。行事に興味が無いのならば、仕方の無いことだ」

と寛大な事を言う。

「申し訳ありません。来年こそは必ず」

意気込むアキラ。

「ああ。来年は期待するとしよう」

紅茶を啜るシキの目に映るは、軍帽を被ったアキラ。

シキからのプレゼントだった。

アキラもシキ同様に、甘いモノは苦手で。

しかも、物欲もほとんど無い。

そのため、シキはアキラに量産品ではなく、オーダーメイドの軍帽をプレゼントしたのだ。

よほど嬉しかったのか、アキラは帽子をずっと被っていた。