屋敷に戻った幸村は、仕事から戻っていた佐助に散々に怒られた。

「旦那!あれだけ、勝手に出歩いちゃ駄目だって言ったでしょ?!なんで守れないの!」

「すまぬ。しかし、政宗殿と話が出来て楽しかったでござる」

にぱっ、と笑った幸村に佐助は脱力した。

「いつの間にか、奥州筆頭の呼び方が『伊達政宗』から『政宗殿』になってるし」

「佐助?」

「もういいよ。湯浴みしておいで。夕餉の支度しておくから」

「うむ」

佐助に言われ、幸村は大人しく湯殿に向かった。

「はぁ〜。敵と馴れ合っちゃ駄目なのにぃ」

うきうきと湯殿に向かう幸村の背中を見つめながら、佐助は呟いたが幸村には届かない。




一方、帰城した政宗は。

門番と供に政宗の帰りを待っていた小十郎に捕まり、執務室へと押し込めらていた。

「Shit!小十郎のヤロウ・・・ま、抜け出した俺も悪ぃか」

思わぬ場所での幸村との再会と、友人同士のような会話に気分を良くしていた政宗は、筆を持つと溜め込んでいた執務を片付けていった。