戻って、政宗・幸村・小十郎・佐助は。

「信玄公が絶賛しただけあって、桜が見事だな」

お茶を啜りながら、幸村に向って言う政宗に、ご飯を食べ終えて機嫌が直ったのか幸村も笑顔を見せている。

「奥州の桜はまだでござるか?」

「雪溶けが終わったばかりだからなぁ。桜が咲くまで、もう少し時間が掛かる。幸村。奥州の桜が咲く頃に呼んでやるから、泊りで花見に来いよ。ウチの花見は最後に宴会になるからな。気兼ねしなくていいぜ」

政宗からの直接の誘いに幸村はチラリと佐助を見た。

「え?俺?俺も参加するよ?小十郎さんの部屋に泊めてもらうから。旦那は竜の旦那の部屋に泊まるでしょ?」

当然の様に言う佐助に、幸村は真っ赤になった。

「ま、当然だな。信玄公には俺から伝えておくぜ」

「宜しく〜」

幸村の隣で勝手に話を進めていく佐助と政宗。

「では、成実たちにその様に伝えましょう」

小十郎までもが幸村そっちのけで話しを進めている。

「ち、ちょっと待つでござる!!某の意見は聞かぬでござるか!?」

3人に放置され、奥州での泊りがけの花見の話しが進んで行くのに、幸村が叫んだ。

「Ah〜?意見?なんかあるのか?」

叫んだ幸村に政宗が話を振ると、幸村は俯いてしまった。

「無いなら、別にいいじゃねぇか」

「し、しかし」

「さて、小十郎。そろそろ帰ろうぜ」

何かを言おうとした幸村を遮って、政宗は小十郎に声を掛けると立ち上がった。

「あれ?もう帰るの?」

小十郎も立ち上がった事で、佐助が疑問を投げかけると、小十郎がすまなさそうな表情を浮かべた。

「政宗様の仕事が溜まっていてな。今日の花見も無理して時間を作ったから、長居ができねぇんだ。すまねぇな」

小十郎が謝ると、身支度を終えた政宗の裾を幸村が掴んだ。

「政宗殿。逢えて嬉しかったでござる。奥州での花見、楽しみにしているでござるよ」

泣きそうになるのを必死に堪えている幸村の頭を優しく撫でて、政宗と小十郎は帰って行った。