「…さて。珍しいヤツが倒れたな?」

2人並んで歩きながらの雑談。

「はい。流石に、某も驚きました」

熱を出したのは佐助。

文を出したのは、武田信玄だった。

文の宛先は伊達政宗だが、内容的には片倉小十郎宛。

「しかし、政宗殿。佐助が倒れた事を一体誰から聞いたのでござるか?」

自室の障子を開けながら言う幸村に、政宗は持参してきていた文を懐からだして、幸村に差し出した。

「見てもいいぜ」

政宗から差し出された文を受け取った幸村は、文を開いて文面を追った。

「…お館様?」

勝手知ったるなんとやら、で勝手にお茶を淹れた政宗は、幸村にもお茶を淹れた。

「YES。俺も驚いたぜ?まぁ、持ってきたのは才蔵だったけどな」

慌てて奥州を発ったハズの政宗は、持ってきていた荷物から団子を取り出して幸村の目の前に広げた。

「む?これは、最近城下で話題の団子ではござらぬか!」

文を政宗に返し、差し出された団子を見た幸村は、包みだけで判断した。

「流石、だな。小十郎の気持ちを考えれば寄り道してる場合じゃかったんだけどよ。流石に、気持ちを落ち着かせる必要があったからな」

「そうでござるな。佐助が倒れた時はそ某も慌ててしまって、お館様に殴り飛ばされたでござるよ」

団子に手を伸ばしながら、言う幸村に政宗は呆れた。

「アンタ…忍が倒れて大変ってトキに、女中に手間かけさせてんじゃねーよ」

お茶を啜りながら言う政宗に、幸村はムグムグと団子を頬張りながらエヘヘと笑った。