その日は、なにやら疲れた表情の佐助を気遣って、夕餉後の酒宴もソコソコに小十郎が佐助を抱え上げて退室した。

「佐助は大丈夫でござろうか?」

「小十郎が連れて行ったし、平気だろ。見た目ほど呑んでなかったしな」

政宗も女中を呼んで酒を片付けさせる。

「政宗殿も、お休みになられますか?」

「この雪で仕事が増えるだろうからな。今日は早めに休む。アンタはどうする?」

政宗自身、殆ど酒を飲んでおらず、就寝時間も早いからと幸村に訊ねると、幸村の返事は。

「では、某も休みまする」

言いながら立ち上がった幸村は、政宗に手を差し出した。

「そうか。悪いな」

「いえ」

差し出された手に自身の手を重ねて、立ち上がる政宗は、自然な仕草で幸村の腰に手を回すと、寝室へと続く襖を開けた。

政宗の寝室には、二組の布団が敷かれている。

「さて、寝るか」

「はい。おやすみなさい」

少しの隙間を空けて敷かれた布団に横になると、幸村が早々に寝息を立てるのを確認してから、政宗も目を閉じた。

翌朝から舞い込むであろう、雪対策の処理の憂鬱さを感じながら眠りに付いた。