「政宗殿ー!!」

ドバーンと門扉を破壊するかの勢いで現れたのは、何時もの戦装束を纏った真田幸村だった。

「Ha〜?幸村?」

幸村の絶叫が聞えた政宗は、持っていた湯呑みを落しかけた。

「政宗様・・・」

小十郎が様子を見ようと腰を上げようとすると、背後に人の気配が現れた。

「旦那方、悪いね」

音も無く、小十郎の背後を取ったのは猿飛佐助。

「・・・説明しろ」

ドスの利いた声で、説明を求める小十郎に、佐助はエヘラと笑った。

「大将から正月休みを貰っちゃってさぁ」

「政宗殿!」

佐助からの説明が終わる前にスパーンッと障子を開けた幸村に、視線が集中する。

「政宗殿!明けましておめでとうございます!今年も宜しくお願い致します」

室内に入ると同時に、以外な程に丁寧な挨拶をした幸村。

「明けましておめでとう・・・・・・しかし、アンタ。その格好で奥州まで来たのか?寒くねぇのか?」

一見すると寒そうな姿の幸村に、政宗が火鉢を指差して手招きすると素直に近くに座った。

「やはり、奥州は甲斐とは違いますな」

ニコニコと笑う幸村。

いつの間にか小十郎と佐助の姿は無く、幸村と政宗の2人きり。

「まぁな。泊まってくんだろ?」

政宗の言葉に、幸村は笑顔で答えた。

「お館様から、この休みの間は奥州に居ても良いと許可を得ております!!」

力一杯、笑顔全開の幸村に政宗は引き攣った笑みを浮かべて、冷め切ったお茶を一口、啜ってから口を開いた。

「そうか。ゆっくりしていけ」

「はい!」