冬を間近に控えたある日の上田城。
「美味しいでござるー」
「そりゃ、良かったな」
パチパチと爆ぜる焚き火を眺めながら、縁側で食べるは焼き芋。
「いやぁ〜。悪いねぇ。こんなにお芋を貰っちゃって」
ニコニコと焚き火を突付く佐助に、枯葉を集めている小十郎が振り返った。
「気にするな」
一見すると不機嫌にも見える表情だが、政宗は小十郎がご機嫌だと見抜いていた。
「小十郎。まだ、焼き芋はあるか?」
「お食べになられるのですか?」
頬杖を付いた政宗に問われ、小十郎は食べ頃に焼けた芋を数本、火の中から取り出した。
「いや?」
政宗の返答を不思議に思い、視線を向けると、幸村が無言で焼き芋を食べ続けている。
「真田は食べすぎだ」
小十郎が呆れて呟く。
「仕方ないでしょ?このお芋、甘くて美味しいんだから」
佐助が笑いながら小十郎から芋を受け取ると、政宗に渡した。
「Thanks。おら、幸。行くぞ」
「ふぇ?何処にでござるか?」
幸村が手持ちの焼き芋を完食したのを確認して、政宗は片手に焼き芋を入れた籠を持ち、幸村の腕を掴むと引き摺るように消えていった。
「・・・・・・あの方向は旦那の部屋かな?」
「政宗殿!何処に行かれるのですか?」
政宗に引っ張られたまま幸村は抗議する。
「Ah〜。アンタの部屋」
幸村の抗議に、サラリと答える政宗。
「久しぶりの再会だからな」
振り向き様に、ニヤリと笑った政宗に、幸村はボッと、音が聞えそうな勢いで真っ赤になった。
「ま、政宗殿!」
慌てる幸村に構わずに、政宗はズカズカと歩いていく。
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