「お館様は、本気なのだな」

政宗は同盟の条件を決めるからと、佐助と幸村を別室に移動させた。

別室に通された二人に、お茶と団子が出され、幸村は警戒心もなく食べている。

「条件次第では、同盟の話し自体が無かった事になるよ」

毒を警戒していた佐助だが、この状況でそれは無い、と思い直してお茶を啜る。

「しかも、同盟が組めても、こっちが不利な条件が付くんじゃない?」

冷静に判断する、佐助の言い分は最もだ。

「それは・・・そうだが」

「失礼いたします。話し合いが終わりましたので、どうぞこちらへ」

幸村の言葉を遮ったのは、待っていた言葉だった。

「お連れしました」

すっ、と障子が開くと、幸村と佐助を案内した侍女の姿は消えていた。

そして、客間には信玄は1人。

「お館様?伊達殿はどちらに?」

幸村の疑問に、信玄は頷いた。

「こちらの申し出を、伊達公は受け入れてくれたぞ」

「大将?同盟の条件はなんですか?」

信玄の態度が僅かにおかしいと、佐助は気付いた。

「む。それ何だがな・・・」

信玄は佐助の質問に言葉を濁すと、落ち着き無くキョロキョロと辺りを見回している幸村に視線を向けた。

つられて佐助も其方を見る。

「幸村の身柄を条件に出してきおった」

幸村には聞えぬように、声を小さくする。

「旦那を?それ以外は、無いんですか?」

佐助もつられて声を小さくする。

「無い。しかし、好条件ではあるのだ。幸村の身柄と、お主の行動制限のみでな。それさえ此方が呑めば、幸村が奥州に逗留している限り同盟が成り立つ」

「俺様の行動制限?」

信玄の言葉―同盟の条件―に妙な単語が混ざっている。

「左様。幸村を此処に置けば、お主も此処に留まるじゃろ。それを見越して・・・と思うのじゃが」

「・・・・・・確かに」

ふむ、と考え込んだ佐助の正面に幸村が現れた。

「どうしたのだ?佐助?」

「どっわぁぁ?!旦那?驚かさないでくださいよ」

怒鳴る佐助を無視して、幸村は信玄に向き直ると、訪ねた。

「同盟の条件は何なのでござるか?」

幸村の真摯な視線を受けて、信玄は話した。