自己紹介

どの学年においても、新しい学期の始めには自己紹介というものが設けられる。
ある者は緊張し、ある者は趣味を語り、またある者はウケを狙うつもりで滑ったりする。
そんなある意味行事のようなもの。
そしてやはり澄織のクラスにもその行事は存在したのであった。



自己紹介はお決まりのように、出席番号の順番で進んでいく。
澄織は念を入れて、前の名前であった綾波の姓を言うつもりだった。
徒然に時は進み、いよいよ澄織の番になる。
普通に席を立ち、澄織は口を開いた。

「わたしの名前は零ざ……綾波 澪です。苗字で呼ぶ奴は敵だけなので気軽に澄織って……あ、澪って呼んでください。
趣味はいかにして早く殺る……じゃなくて、音楽です。
好きなものは甘い物と家族。嫌いなものは実力差を分からずに復讐してくる奴……じゃなくて、辛い物です。
えーと……、これからよろしくお願いします?」


色々とカオスだった。

澄織が席を座っても、しばらく沈黙が教室に降りていた。
幼い頃からずっと裏世界で生きてきた澄織にしてみれば、訂正しているだけ流石常識人、というところか。
しかし、訂正する前の、口を滑らせてしまったものたちの内容が内容だった。
ちなみに突っ込み要員である沢田綱吉ことツナの脳内といえば、

「(何言っちゃてるのこの人ー!? 苗字と名前間違えてるし!! 趣味と嫌いなものが色々物騒なものを訂正してたー!!)」

だった。


何はともあれ、こうして澄織人生初の表世界での自己紹介は、微妙な空気のまま幕を降ろしたのであった。



(何でこんなにみんなリアクションが薄いんだろう…?)(あとでレン兄に聞いてみよっと)

終わり


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