∴仁王に転生した子
※転生成り代わり(原作知識あり)の子の悩み的な
※軽いノリで書きました
突然だが、私は高校二年生である。ごくごく普通の私立学校に通い、学業の成績をそこそこに取り、テニス部のレギュラーでもある、少しイイ感じの高校生なのである。容姿だって、我ながらいいほうだと思っているし、現に何回か告白を受けたことだってある。そう、これだけ言えば、私はまるでリア充のように聞こえるのだ。……しかしながら、こんなにもリア充のようである私は、大きな問題を一つ抱えている。
ぶっちゃけると、私は、前世の記憶を持っている。
いつの間にか前世で死んだ私は、そのまま記憶を持って産まれてしまったのだ。そして幼い頃からあるそれは、消えることなく成長して、今の私になっている。
『仁王雅治』
それが今の私の名前である。……わかる人はわかって頂けただろうか。そう、私は俗に言う、転生成り代わりというものをしてしまったのである。
原作も無事に終わり早二年。気がつけば高校二年生の秋になっていた。しかし、やることもなくなったといって、安心するのはまだ早かったのだ。何故かと言えば――、
「仁王くんって、誰かと付き合ってるの?」
……これは原作が終わったからといって、この人生が終わるわけではないからだ。
高校生ともなれば、お付き合いの一つや二つをするのが当たり前になってくる(らしい。前世の私は死ぬまで付き合いなんてしなかったが)。さらに顔もいいからなおさらだ。だから、私がまだ付き合ってない歴=年齢だと答えるといつも驚かれる。
でも、よく考えてほしい。私はどっちに転んでも同性愛になってしまうのだ。精神的レズか、肉体的ホモになるかしか違いはないのだ。そして私はどっちも嫌なのだ。これでどうやってお付き合い経験を作れと言うんだ。無理に決まっている。
屋上にねっころがった私は溜め息をついた。これから先、一体私はどうなるんだろうか。このまま一生独身は嫌だ。でも、ホモレズになるのも嫌だ。結婚なんて、産まれたばかりのときはまったく考えていなかったのに。つい最近、クラスの女子が「仁王くんって、まさか、ホモなのかな……」と呟いているのを聴いてしまってから、焦燥感はさらに募っている。確かに前世の記憶を抜きで言えば、私は性同一障害だ。しかし、そんなことを誰に言うことができるんだ。親にも隠して生きていたっていうのに。いまさら、どうすればいいんだ。
何故か泣きたくなってきて、私は腕を目の上に置いた。
どうして、私がこんなに悩まなくちゃいけないんだよ、バカヤロウ。
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82にしたいと思いながら書きました。
Q,ホモが好きなんですか?
A,大好物です
一人称って書きやすいんですけど、やっぱり苦手です。
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